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源泉徴収票の見方は?年収と所得の違いを知ろう

この記事は約6分で読めます。

「源泉徴収票って、結局なにが書いてあんの…?」

源泉徴収票は給与明細の親玉だと思っていたけど、どうも書いてあることが違いますよね。

源泉徴収票は所得税に関する証明書、という特徴があります。

この記事では、源泉徴収票の意義と読み方を紹介。

読み終わる頃には、年収と所得の違いがわかるようになるはずです。

とりあえず結論
  • 源泉徴収票は、収入と所得税の証明書
  • 年収はお金の総支給額
  • 所得は年収から経費を引いたもの
  • 年収 – 給与所得控除 =給与所得
  • 給与所得 – 所得控除 =課税所得
  • (課税所得 × 税率) – 税額控除
    課税される所得税

なお、源泉徴収票をヒントにして手取りを計算する方法は、こちらの記事で紹介しています。

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源泉徴収票ってなに…?

源泉徴収票は、収入と所得税額を証明する書類です。
ざっくりいうと、天引きされた所得税の計算過程が書いてある紙です。

法定調書という立派な証明書です。
そのため、確定申告・転職時・住宅ローンを組む時などに必要です。
最近では結婚相談所への入会時に提出を求められることも…。

源泉徴収票には手取り(可処分所得)は書いていません。
また、所得税に関する書類なので、住民税や交通費に関する記載はありません。
住民税などの金額を調べるには、給与明細や住民税の決定通知書を参照しましょう。

控除と所得

源泉徴収票を読む上で知っておきたいのが、控除と所得という言葉の意味です。

控除とは差し引くという意味で、税金がかかる大もとの金額を少なくする処理です。
たくさん控除できれば払うべき税金も安くできますが、控除できる上限額は決まっています。

所得とは収入から経費を引いたものという意味で、複数の「所得」があります。
この記事では(ただの)所得・給与所得・課税所得、の3つが出てきます。

源泉徴収票の読み方

支払金額

収入、いわゆる年収、いわゆる額面です。
「年収いくら?」と聞かれたらこの数字を答えるのが正解です。

筆者のリアル源泉徴収票。いつのものかは内緒

【ちょっと詳しく】
1暦年間(1~12月)に会社から支払われた給与・ボーナスの総額を示しています。
通勤手当は含まれていません。
通勤手当は非課税なので、所得税の計算に無関係だからです。

給与所得控除後の金額
(調整控除後)

会社員なら給与所得を示します。
個人事業主なら所得を示します。
ただし、「ねえ所得いくら?」と聞かれても、この数字が正解とは限りません。
所得にはいくつもの種類があるからです。

給与所得控除後の金額
=給与所得

【ちょっと詳しく】
大きな意味での所得とは、収入から経費などを引き算したお金のことです。
給与所得は、収入から給与所得控除というお金が引き算された数字です。

収入 – 給与所得控除 = 給与所得

個人事業主にとっての所得は収入から必要経費を引いたものです。
必要経費とは、テナント料・文房具・光熱費などです。
これらは領収証などで管理し、確定申告のときに使います。

会社員にとっての必要経費は、スーツ代仕事で使うパソコンなどの費用を指します。
しかし、皆さんは日々のスーツのクリーニング代などを会社に経費申請していませんよね。

そこで、「会社員ひとりひとりの必要経費は知らんけど、年収から推定してなんとなくこれくらいの額だと決めちゃうね」ということで決められた必要経費が、給与所得控除です。
年収別に計算方法が決まっていて、国税庁のページで簡単に正確な数値を出すことができます。

年収を入力するだけで算出できる
(出典:No.1410 給与所得控除

給与所得は所得税の計算過程で出てくる一時的な数字なので、一般人にとって実用上の意義は薄いでしょう。

所得控除の額の合計額

所得控除の額を示します。

所得控除の額

【ちょっと詳しく】
上で解説した「給与所得控除後の金額」から、さらに所得控除というお金が引き算がされます。
所得控除は、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除など全部で15種類あります。
私の場合は基礎控除38万円、社会保険料控除54万3707円で、トータル92万3707円です。

収入 – 給与所得控除 – 所得控除 = 課税所得

源泉徴収票には載っていませんが、ここまでで課税対象となる所得、つまり課税所得を算出できます。

源泉徴収税額

1暦年間で実際に天引きされた所得税の額を示します。

源泉徴収税額=所得税額

【ちょっと詳しく】
天引きで税金が取られることを源泉徴収といいます。
イメージとして、お金が無限に湧いてくる素敵な温泉があり、湧きたてのお金(源泉)から地主が一部を抜き取り、残りのお金(手取り)が支給される、という感じ。

1暦年分の給与明細の所得税欄をすべて足した金額と同じになるはずですが、実際は源泉徴収税額の方が少し小さく、ピッタリになりません。
実は毎月の所得税はちょっと多めに天引きされることが多く、この差額は年末調整でピッタリ還元されているはずです。

1暦年分の給与明細の所得税合計
=源泉徴収税額 ± 年末調整の額

この源泉徴収税額をわざわざ手計算して求めることで、所得税についてより深く理解することできます。
別記事で紹介しますので、ぜひ計算してみてくださいね。

(源泉)控除対象配偶者の有無等

この行はまるごと所得控除の計算に関連しています。
例えば扶養家族が多いほど控除額が大きくなります。
つまり、収入から控除される額が大きくなり、最終的な課税所得額を小さくでき、所得税を安くできます。

社会保険料等の金額

1暦年間に天引きされた社会保険料の総額を示します。

【ちょっと詳しく】
健康保険、厚生年金、雇用保険の額をまとめて社会保険料といいます。
給与明細の「社会保険料合計」欄を1暦年分足し合わせると、同じ数字になるはずです。
40歳以上になると、ここに毎月6000円超の介護保険料が上乗せされます…。
出典:介護保険料が最高の月6225円 65歳以上、2024~26年度

生命保険料の控除額

1暦年間に支払った生命保険料のぶんを所得控除できた額です。

【ちょっと詳しく】
この額が多いほど、課税所得を減らすことができます。
ただし控除の上限額は最大でも12万円と決まっています。
例えば生命保険料を年間で30万円支払っていても、最も好条件で計算して12万円までしか控除できないということです。

地震保険料の控除額

1暦年間に支払った地震保険料を所得控除できた額です。
例えば契約期間5年で15万円の地震保険料を支払っている場合、1年あたりの保険料は3万円となります。
この3万円を地震保険料控除の速算表に当てはめて、所得控除となる額を算出します。

住宅借入金等特別控除の額

いわゆる住宅ローン控除です。
住宅ローンを利用して家を取得すると、ローン残高に応じた金額が控除できる制度です。
税額控除という特別枠の控除で、所得税をダイレクトに安くできる強力なディスカウント制度です。

まとめ:源泉徴収票は証明書

今回は、源泉徴収票の基本についてまとめてみました。

ふたたび結論
  • 源泉徴収票は、収入と所得税の証明書
  • 年収 – 給与所得控除 =給与所得
  • 給与所得 – 所得控除 =課税所得
  • (課税所得 × 税率) – 税額控除
    課税される所得税

難しそうな源泉徴収票も、ただの証明書だと思えば読み方のハードルがグッと下がりますよね。

ここまで読んでくれた方は、明日から源泉徴収票についてひとことで説明できるはずです。

これを機にマネーリテラシーをどんどん向上させていきましょう。

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