「分散投資はわかったけど、自分のリスク許容度を知るにはどうすればいいの?」
投資をしていると必ず出てくる言葉、リスク許容度。
調べても曖昧な表現ばかりで、結局なんなのかよくわかりませんよね。
・リスク許容度とは、どれだけ大胆な投資ができるかを知るツール。
・あくまで感覚的な指標に過ぎず、個人の環境によって変化する。
・リスク許容度が高いほど、ハイリスクな投資を行うことができる。
この記事では、自分のリスク許容度を知りたいという方向けに、リスク許容度の計算方法とポートフォリオへの活かし方を紹介します。
読めばきっと、投資への理解が深まるでしょう。
投資のリスク許容度とは
リスク許容度とは、投資でどれくらいの価格変動(特に損失)を受け入れられるかの度合いのことです。
要するに「どれだけ大胆な投資ができるか」を感覚的に数値化したものです。
身長や体重のような絶対的なものではなく、あくまで相対的・心理的なものです。
これを知ることで、今後の投資活動で、自分がどれくらいの値幅に振り回されるかをあらかじめ把握することができ、短期的な損益に惑わされづらくなります。
それは最終的に、当初に決めた資産目標の達成へとつながります。
リスク許容度は、個人の資産状況、投資目的、経験、年齢、性格などによって異なります。
楽観的で数万円の損失など気にしない性格の人は、心配性の人よりもリスク許容度は高いといえるでしょう。
また、年齢が若い人は、高齢者に比べてリスク許容度は高いとされます。
これは、若い人はたとえ損失を出しても、その後の人生での収入が見込めるため、あとで稼ぐことでフォローできると考えられるからです。
ということで、リスク許容度は個人の環境によって大きく異なるのです。
いま現在の置かれた環境で、どれだけリスクを取って投資ができるかを、客観的に知ることができるツール、といったところでしょうか。
リスク許容度の計算方法
さっそく、リスク許容度を計算してみましょう。
といってもここでは、簡単に計算できるサイトを紹介するだけです(笑)
いずれも無料で利用できます。
各サイトとも、いくつかの質問に答えるだけで、あなたのリスク許容度を数値化することができます。
個人情報の入力は求められませんので、気軽に試してみてください。
一般社団法人 全国銀行協会
「速攻10問!あなたのリスク許容度まるわかり!」と謳っているとおり、所要時間は30秒ほどでした。
年齢は?貯蓄は?マイホームはもっている?といった簡単な質問に答えていくと、リスク許容度と推奨ポートフォリオが示されます。
リスク許容度は具体的な数値で出されますが、推奨ポートフォリオはあらかじめ用意されている4タイプのどれかに判定されるだけです。
安全性重視タイプ、安定成長タイプ、バランス運用タイプ、積極運用タイプ、の4つです。
ちなみに私サクリがやってみたところ、リスク許容度は84%、積極運用タイプと判定されました。
フィデリティ証券
リンク:投資計画の設定とリスク許容度の診断 ―― フィデリティ証券
投資の目的は?いくらまでの下落なら我慢できそう?毎月いくら投資に回せる?といった、より具体的な質問がなされます。
面白いのは、最後の質問でポートフォリオをインデックスファンドのみで作るか、アクティブファンドも混ぜて作るかを選べるところですね。
所要時間は1分ほどでした。
診断結果はけっこう具体的でした。
まず、ポートフォリオの資産配分とそれに対応した金融商品名も提示されます。
それから、収益予想として設定年後の総資産額と損益が示されます。
最後に、リスクリターンマップとして、他の金融商品と比べた散布図まで出てきます。
私サクリの結果は、ポートフォリオのリスクは13.01%、期待リターンは6.02%となりました。
おそらく、リスク13%というのはリスク許容度87%ということかと思われます。
年換算予想利回りは4.21%、毎月10万円を投資するとして、30年後の評価損益はプラス3605万円とのことです。
ウェルスナビ
こちらも1分もかからずに診断されます。
質問は基礎的なものですが、結果が出たあとの画面で目標金額や運用期間などを詳細設定することができます。
結果は「70%の確率で6064万円以上になります」といった将来予想が示されます。
また、過去分析として過去に投資していた場合の現在のパフォーマンスがグラフで出てきます。
最後に、ポートフォリオ提案として具体的な資産クラスと配分が提示されます。ここで示されるのは資産クラス名だけで、金融商品名まで知ることはできません。
私サクリの結果は、リスク許容度が4/5でした。つまり80%ということかと思われます。
3800万円の投資額が、70%の確率で6063万円以上になる、とのことです。
さて、3つのサイトを紹介しました。
重要なのは、複数のサイトで横断的に計算してみることです。
大まかな推奨ポートフォリオは似ているものの、リスク許容度判定や将来予測などはサイトごとに微妙に異なっていました。
私の場合はどのサイトでもリスク許容度が80%程度という結果でしたが、判断を偏らせないためにも、1つだけで計算するのは控えた方がよいでしょう。
リスク許容度、どう使う?
では、リスク許容度をポートフォリオに活かしてみましょう。
リスク許容度は感覚的なものなので、以下に出てくる数値も感覚的なものと捉えてくださいね。
例えばリスク許容度が80%以上と高めの場合は、株式などのハイリスクな資産に多く投資することができるでしょう。
反対に、リスク許容度が20%など低めの場合は、ローリスク資産である債券などに多く投資することが推奨されます。
いずれにしても、ひとつの資産クラスだけでポートフォリオを作るのではなく、複数の資産クラスを組み合わせた方が、低リスクでよりよいリターンを狙えるとされています。
例えば、株式が7割、債券が3割、REITが1割、といった具合です。
これは、現代ポートフォリオ理論と言われており、提唱者はノーベル経済学賞を受賞しています。
現代ポートフォリオ理論については、以下の記事でも解説しています。
また、時間をおいてから再度、自身のリスク許容度を診断してみるのもよいでしょう。
リスク許容度は同じ人でも置かれた環境で大きく異なります。
「収入に変化があった」「家を買った」などのライフイベントごとに再診断し、過去のリスク許容度と比較することで、自身のリスク許容度の高低が把握できるでしょう。
その結果は、投資方針をより攻めたものにするか、ローリスクなものに変えるかを判断する材料となるでしょう。
参考:望ましい資産配分
ちなみに、株式投資 第4版という本では、「望ましい資産配分」として以下が紹介されています。
これは、株式と債券という2種類のみの保有を考えたときの、株式の「望ましい」保有比率を表にしたものです。
超保守派:利回りは問わずにリスクを最小限に抑えようとする派
保守派:リスクは控えめにしながら少しましな利回りを得ようとする派
リスク容認派:一定のリスクを負いながらそれ相応の利回りを狙う派
リスク選好派:大きな利回りを得るためには大きなリスクを負うことも辞さない派
比率が100%超のところは、信用取引などでレバレッジを効かせて実現するという旨で説明されています。
理論上の配分とはいえ、超ハイリスクですね…
この本を含む、投資の勉強におすすめなテキストを難易度別にまとめてみましたので、よければ以下の記事もご覧ください。
まとめ
投資におけるリスク許容度について、簡単にまとめてみました。
ここまで読んでくれた方は、すでに自身のリスク許容度を把握できるようになっていると思います。
・リスク許容度とは、どれだけ大胆な投資ができるかを知るツール。
・あくまで感覚的な指標に過ぎず、個人の環境によって変化する。
・リスク許容度が高いほど、ハイリスクな投資を行うことができる。
リスク許容度は感覚的なモノだという認識が良いでしょう。
いくら調べても、「許容度55~73%以上の方にはこのポートフォリオがおすすめ!」というような、統一された具体的な使われ方が見当たらないからです。
ただ、リスク許容度は投資戦略を決める上で欠かせない要素でもあります。
リスク許容度を理解した上で投資することは、損失の拡大を防ぎ、偶然の利益に惑わされず、目標に向けて堅実に進む大切な指針となります。
自分のリスク許容度が把握できたら、次は証券口座を作りましょう。
また、低リスクで老後資金などの多くの資産を目指すには、インデックス投資がおすすめです。
雇われの身である限り、地道に資産を育てるしかありませんよね。
私サクリもコツコツ積み立てていますので、読者の皆さんも生活の負担にならない範囲で、一緒に頑張りましょう!
引用サイト
一般社団法人 全国銀行協会:リスク許容度診断
フィデリティ証券:投資計画の設定とリスク許容度の診断
ウェルスナビ:無料診断(最短1分・全6問)
※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。