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定額減税で住民税はどう処理される?なんでゼロ円なの?

この記事は約5分で読めます。

「6月の給与明細、なんかおかしくない…?」

明細のどこにも4万円減税なんて書いてないし、住民税の天引きがゼロ円ってどういうことでしょうか。

それ、実は予定通り減税されています。

この記事では、2024年6月の定額減税で所得税・住民税はどう処理されているのか、サクッと解説。

読めば来月から住民税が値上がりしている理由もわかりますよ。

とりあえず結論
  • 所得税と住民税で減税方法が異なる
  • 所得税は遅くとも2024年の年末調整で完了
  • 住民税は2025年5月で完了
  • 住民税は一時的に毎月の税額が高くなる傾向がある
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定額減税を10秒でおさらい

2024年6月の定額減税は、今回限りの単発イベントです。

合計所得金額1805万円以下(給与収入だけなら年収2000万円以下)の方を対象として、一人4万円が減税されます。
減税額=天引きされない額、つまりもらえる額です。

住民税で1万円、所得税で3万円と、それぞれ別の処理で減額されます。

住民税の処理は?

定額減税における住民税の扱いは、国税庁のホームページに記載はありません。
住んでいる市区町村に確認する必要があります。
概ねどの自治体も同じような処理がなされます。

住民税の処理
  • 2024年6月分の住民税は徴収をゼロ円とする
  • 年間で支払う住民税の総額から1万円引いた額を、7月からの11か月間で分割して徴収する

東京都千代田区ホームページより抜粋要約)

具体例

例えば、2023年の収入(年収)が400万円なら、毎月天引きされる住民税は1万4600円くらいです。
(シミュレーション元:税金・保険料シミュレーション

まず2024年6月の天引きがゼロ円となります。
6月の給与から控除される住民税がゼロ円なのはこれが理由です。

本来納めるべき住民税の年額は14600円×12ヵ月で、17万5200円です。
ここから1万円を引いた16万5200円を11ヵ月かけて納めるので、7月からはひと月あたり1万5018円の天引きとなります。

本来なら月1万4600円の天引き額が、定額減税されたことで1万5018円となり、見かけ上は値上がりしたように感じます。

つまり、年間でみると1万円の減税がされていますが、7月以降の給与明細や住民税決定通知書では値上がりしたように感じる、ということです。

ちなみに2024年度の決定通知書から年額1000円が、新設された税金である森林環境税としてしっかりと徴収されています。

所得税の処理は?

所得税の扱いは、国税庁の定額減税 特設サイトにて確認できます。

2024年6月の給与・賞与のうち最初に支払われる賃金から、3万円が一括で控除されます。
しかし、ひと月あたりの控除上限額はその月の所得税額なので、多くの方は減税額がトータル3万円になるまで毎月所得税が減税されます。
2024年末までに3万円に達しない場合、年末調整で残額が一括減税されます。

具体例

例えば年収400万円の場合、ひと月の所得税額は7000円ちょっとです。
トータル3万円に達するには4.2ヵ月かかります。
つまり、6~9月は所得税がゼロ、10月は1400円徴収され、11月から本来の7000円が徴収され始める、と予想できます。

ちなみに年収731万円くらいで、ひと月の所得税が3万円となります。

減税ではなく給付を受けられる対象は?

ここでは私サクリが個人的に調べた内容を書いています。

低収入で扶養者が多い人

定額減税しきれないと見込まれる場合は、減税しきれない額を調整給付金として受け取ることができます
ただし申請手続きが必要で、市区町村から送られてくる書類を返信しなければなりません。
調整給付金のご案内 – 国税庁(PDF)

目黒区のホームページから、具体例を紹介します。

【想定世帯】
・納税義務者本人が配偶者と子ども2人を扶養している
・納税義務者本人の2024年の推計所得税額(減税前)が3万9500円、個人住民税額が6万円の場合

【所得税】
まず所得税の減税可能額は、3万円×4人=12万円。
しかし年間所得税は3万9500円なので、控除しきれない額は12万円-3万9500円=8万500円となる。

【住民税】
住民税の減税可能額は、1万円×4人=4万円。
年間住民税は6万円なので、控除しきれない額は4万円-6万円=▲2万円となり、全額控除できる。

【最終的な調整給付金】
控除しきれないのは8万500円なので、1万円単位で切り上げた9万円が、最終的な調整給付金として支給される。

目黒区ホームページ「ア 調整給付があるケース」より一部抜粋・筆者加筆

住民税非課税世帯

ここでいう住民税非課税世帯とは、住民税の所得割も均等割も非課税となっている世帯を指します。
だいたい年収100万円未満を想定しています。

この場合は、2023年7月から合計して1世帯あたり10万円の給付が受けられることになっています。
手続き方法などは各市区町村によって異なるため、国税庁ではなく住んでいる自治体に確認する必要があります。

まとめ:減税処理完了は2025年5月

今回は2024年の定額減税の具体的な処理についてまとめてみました。

ふたたび結論
  • 所得税と住民税で減税方法が異なる
  • 所得税は遅くとも2024年の年末調整で完了
  • 住民税は2025年5月で完了
  • 住民税は一時的に毎月の税額が高くなる傾向がある

所得税と住民税はそれぞれ別の方法で減税処理がされます。

所得税は数ヵ月かけて、住民税は1年かけて減税処理されます。

「定額減税の効果」の実感が乏しいのはこういう理由だったんですね。

「どうせ4万円トクするんだから、先取りで贅沢しちゃお」と考えたくなりますが、光熱費の高騰や、2026年度から始まる子ども・子育て支援金など、今回の減税を帳消しにする環境が控えています。

数年後の生活を見据えて、今回のお小遣いを浪費しないように気を付けましょう。

参考文献
・国税庁 – 定額減税 特設サイト
・ 税金・社会保障教育 – 税金・保険料シミュレーション
・目黒区 – 定額減税しきれないと見込まれるかたへの給付金(調整給付)のご案内
・タマルWeb – 子ども・子育て支援金、いくら負担することになる?対象者は?