「タカ派発言で株価が下落って、どういう意味…?」
ニュースでは当たり前のようにハト派・タカ派という言葉が出てきます。
しかしその意味までは教えてくれませんよね。
この記事では経済ニュースを読みたい方のために
・経済におけるハト派・タカ派の意味
・株価への影響
についてサクッと解説。
読めばFOMCの内容にとっつきやすくなるかも。
- ハト派は利下げ、タカ派は利上げの考えが強い人のこと
- ハト派的な発言→株価は上昇傾向
- タカ派的な発言→下落傾向
- 株価への影響は不安定かつタイムラグがあるので、短期売買で利益を狙うのは難しい
ハト派 タカ派って?
金融・経済界の要人の、金融政策に対する考え方を表しています。
ハト派
景気を重視し、利下げ・金融緩和・経済成長を好むスタンス。
要人のハト派発言は、株価上昇の材料となることが多い印象です。
タカ派
物価を重視し、利上げ・金融引き締め・景気過熱抑制を好むスタンス。
タカ派発言は、株価を下げる材料とされる傾向があります。
いずれも語源は政治の言葉です。
ハト派は平和主義的、タカ派は武力主義で政治を動かそうとする考え方です。
【タカ派の覚え方】
ハト派とタカ派を混乱してしまう方に、いい覚え方を紹介します。
” タカの目は吊り上がっている ”
ことから、利上げと連動させて” タカ派→利上げ “と覚えてみましょう。
株価への影響は?
ハト派・タカ派発言からは今後の政策の方向性が垣間見えるので、投資家の集団心理に影響します。
心理というのがポイントで、まだ金融政策が確定していないにも関わらず、将来への不安や期待から実際に株価が動きます。
経済界の要人などがハト派的な発言をすると、利下げによって将来の経済成長を予感させることから、株価は上がる傾向にあります。
逆にタカ派の発言がニュースになると、近い将来の金融引き締めを警戒して株価は下げやすい傾向にあります。
発言の例
2024年7月31日、日銀が利上げを発表しました。
これはまさにタカ派ド真ん中の政策発表となり、その後の株価が暴落しました。
その後の8月7日に日銀副総裁が、「(前略)~金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはありません 」という発言をしました。
これはハト派発言と捉えられ、利上げへの過度な心配が和らぎ、それまで暴落していた株価は大きく値戻りしました。
株価への影響に再現性はない
ただ、その発言がハト派・タカ派のどちらなのかは、すべて後だしで決まる風潮があります。
実際に株価が動いてから「あの高官の発言はハト派だった」などとレビューされることがほとんどです。
よって、「利下げ」などのフレーズだけでハト派と判断し値上がりに賭けるトレードをしても、利益となる保証はありません。
また発言内容について、自分だけで判断した結果と市場の反応が逆だった、ということがよくあります。
いずれにしてもトレンドの波に乗るのが安全といえるので、反射的な売買は控えた方がよいでしょう。
FOMCって?
FOMCはアメリカの金融政策を決める会合のことで、日本でいう日銀の金融政策決定会合です。
FOMCは世界への影響力がとても大きいといわれています。
それは、アメリカがGDPトップの経済大国だからです。
名目GDPの世界シェアはアメリカが25%と第1位で、2位の中国17%に大きく差をつけています。
ざっくりいうと、FOMCだけで世界の1/4のお金に影響するということです。
このFOMCやその3週間後に公表される議事録で、ハト派やタカ派の内容が目立った場合、世界中の市場が影響を受け、株価や為替が大きく動く原因となります。
それ以前にFOMC自体が大きなイベントなので、普段からFOMCはよく注目されます。
→ FOMCは懸念されたほどタカ派な内容でなかった:利上げ否定で金融市場に安心感 – NRI
→ 6月のFOMC、タカの背後にハトが見え隠れ – PICTET
FOMCメンバーの派閥は?
2024年のFOMCメンバーは12名が投票権を持っています。
内訳はハト派3名、タカ派2名、中立派7名となっています。
パウエル議長は中立派のようです。
→ 市川レポート】2024年FOMCメンバーの金融政策スタンス – 三井住友DSアセットマネジメント
まとめ:要人発言はいつも突然に
今回は、ハト派・タカ派発言の意味についてまとめてみました。
- ハト派は利下げ、タカ派は利上げの考えが強い人のこと
- ハト派的な発言→株価は上昇傾向
- タカ派的な発言→下落傾向
- 株価への影響は不安定かつタイムラグがあるので、短期売買で利益を狙うのは難しい
ここまで読んでくれた方は、もう経済ニュースのハト派タカ派で迷うことはないでしょう。
要人の発言は、株価に影響しそうな日銀会合・雇用統計・FOMCなどの時期に限らず、いつでもニュースになります。
保有している銘柄が急変動したときは、もしかしたら誰かが金融政策について言及したのかもしれませんね。
一時的な変動で慌てないためにも、長期・少額の積立投資がおすすめです。
参考文献
日銀副総裁「ハト派」発言、円安・株高:識者はこうみる
日銀7月会合主な意見、委員ら物価上振れを懸念 1%へ段階的利上げ提唱も
日銀はタカ派からハト派に変身か?
やわらか投資用語8:「タカ派」と「ハト派」
金融政策に対する評価で使われる「タカ派」・「ハト派」って何?