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企業年金ってなに?退職金ももらえる?やったほうがいい?

この記事は約8分で読めます。

「私も企業年金ってやったほうがいいのかな…?」

企業年金は公的年金とは別の年金制度で、企業(会社)が資金を出し、退職後に給付されるものです。

いくつか種類があり、それぞれ特徴があるので、上手く活用すれば老後資金をパワーアップできるでしょう。

とりあえず結論
  • 企業年金とは、国民年金、厚生年金に次ぐ3つ目の年金制度。
  • 導入の有無や、企業年金と退職金が両方もらえるかどうかは、会社規定による。
  • 確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の2つがある。
  • 企業型確定拠出型年金の方が大きなリターンを狙えるので、おすすめ。
  • ただしデメリットを慎重に検討した方がよい。

本記事では年収400万円程度の方を対象に、企業年金の基礎知識をおさらいします。
なお、本記事での「退職」とは定年退職のことを指します。

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企業年金の基本

企業年金とは、会社が資金を出して、退職後に個人に支払われる仕組みのことです。
「企業年金」という名前の制度があるのではなく、後述する2つの年金制度を便宜的に企業年金と呼んでいます。
国民年金、厚生年金に加えて3つ目の年金となり、加入していれば全部で3つの年金を受けることができます。
公的年金が頼りない中で3つ目の年金があれば、老後の安心感も違ってきますよね。

ただ、企業年金は任意の制度なので、導入していない企業もあります。
つまり、自分の会社に企業年金が導入されているかどうかは、ご自身で勤め先の総務・労務部などに確認する必要があります。

企業年金は大きく2つ。

企業年金の種類
  • 確定給付企業年金(DB)…将来もらえる金額が決まっている。
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)…毎月の支払う金額が決まっており、将来もらえる額は決まっていない。

確定給付企業年金(DB)

将来もらえる金額が決まっている制度です。
会社と従業員が給付の内容を約束し、退職時にその約束どおりの給付を受けることができるものです。
給付される内容が決まっているので、確定「給付」年金といいます。
DB(Defined Benefit plan)と略されます。
資産運用母体により規約型と基金型の2つがあります。

運用リスクは会社が負い、会社と契約した信託会社や生命保険会社が運用を行うため、低リスクな運用をされがちです。
弊社の場合、運用益は年率0.02%ほどです。
これでは2024年春に発表された三大メガバンクの預金金利と同じですね。

企業型確定拠出年金(企業型DC)

掛金(毎月の拠出額)が決まっており、将来の支給額が変動する制度です。
会社が毎月一定額を積み立て、その運用益を元に退職後の支給額が決まるタイプの制度です。
追加で個人が資金を拠出することもできます(マッチング拠出)。
拠出額が決まっているので、確定「拠出」年金といいます。
DC(Defined Contribution plan)と略されます。

このDCには、個人で掛金を拠出する個人型もあり、iDeCoとして知られています。
iDeCoは自分で掛金を払うので、まさに追加で年金制度に加入するイメージですね。

運用リスクは加入者、つまり従業員が負います。

企業型では運営管理機関(金融機関)を会社に指定されたものしか選べません。
指定された金融機関が取り扱っている商品から、従業員が投資対象を選び、運用します。
個人型(iDeCo)では、従業員が好きに金融機関を選べるので、投資対象の選択肢が広がります。

運用先は主に、定期預金投資信託です。
そう、DCは積立投資で資金を増やすのと同じ性質を持っているのです。

企業年金と退職金は同時にもらえるの?

結論から言うと、企業の規約によります。

企業年金も退職金も法律上の定めはないので、どちらも導入している企業や片方のみの企業、どちらも導入していない企業など、色々なパターンがあります。
そのため、企業年金と退職金を両方もらえる企業は存在しますが、ご自身の勤め先が該当するかどうかは、会社の規約を読んだり労務部に連絡して確かめる必要があります。

私サクリが所属している会社では、確定給付企業年金(DB)と退職金の両方の制度があります。
確定給付企業年金は任意加入となっています。
後述する理由により、私はDBに加入していません。

入ったほうがいい?どっちに?

DBも企業型DCも、将来の年金を増やすという目的はどれも同じです。
毎月の手取りに余裕があれば、今からでも加入する意義は充分にあるでしょう。

私個人が加入するとしたらiDeCoです。
が、実を言うと私はDCもDBも加入するつもりはありません。
ただ今回は企業年金の話なので、どちらかというと確定拠出年金(DC)をおすすめします。

DCを勧める理由
  • 運用的が全額非課税なので、利益の最大化が狙える
  • 投資商品を選べるので、DBよりも大きな利益を狙える
  • 受取時も退職所得控除が適用され、フル課税よりも手取りが増える
  • 掛金が所得控除となり、節税効果が高い(マッチング拠出の場合)
  • 企業型DCを導入していない会社でも、iDeCoとして個人型に加入することができる

要はDBよりもDCの方が積極的な投資ができる分、将来の受取額を大きくできる可能性があるから、です。

特に運用益が非課税というのは大きなメリットですが、この文言をどこかで聞いた覚えはありませんか?
そう、NISAです。
DCは積立投資と同じだというのは、この税制優遇を根拠にしています。

別記事で紹介したこの本でも、できるだけ早い時期からの企業型DCによる資産形成を推奨しています。

DCの拠出(投資)対象は何がある?

DCは企業型も個人型も、加入者自身が投資対象を選べる制度です。
投資対象は大きく2種類あり、定期預金と投資信託です。

マネックス証券
定期預金1、投信26
投信には通常の投資で人気のeMAXIS Slimオルカン、iFreeNEXT NASDAQ100や、REITもあります。

松井証券
定期預金1、投信39
eMAXIS Slim全シリーズを網羅しています。
定期預金よりは儲けたいけど株式ほどリスクは取りたくない、という方は選択肢が広がりますね。

SBI証券
定期預金2、年金保険2、投信83
DC Doctorという投信の選び方サポートツールがあり、口座がなくても利用できます。
リスク許容度やポートフォリオ診断ができます。

楽天証券
定期預金1、投信35
iDeCo初心者向けの情報が多く、楽天証券の口座がなくても閲覧できます。

企業年金の注意点

拠出額が所得控除されて、運用益にも非課税で、受取時にも退職所得控除が適用されるとなれば、メリットしかないように思えますが、見合うだけのデメリットも存在します。
特にDCの中途解約不可という縛りは、加入者からの不満が最も多いとされています。
安易に企業年金に加入する前に、デメリットを理解することが重要です。

DBのデメリット

・低リターンになりがち
→外部機関では低リスク低リターンな運用をされるケースが多く、株投資などの積極的な運用ができないため、大きなリターンを狙えません。
個人的にはここが許容できず、自社のDBには加入していません。

・小さい会社だとDBを導入できない
→基金型は従業員300人以上、規約型は人数の定めはないが100人以上が目安とされています。
追加で年金を積み立てたいなら、個人でiDeCoに加入すれば解決できます。

DCのデメリット

・原則60歳まで資金を引き出せない
→DCは「年金」なので、原則的に中途解約できない仕組みです。
この60歳までの資金凍結というのは、最大のデメリットだと感じます。
私がiDeCoに加入しない理由です。

・企業型DCでは運営管理機関を選べない
→債券やバランスファンドしか選べないと、せっかくの非課税リターンも小さくなりがちです。
iDeCoに加入して自分で投資対象を選べば解決します。

・元本割れの可能性がある
→投資対象に定期預金や生命保険以外の商品、つまり投資信託を選ぶと、タイミングによっては元本割れの可能性があります。

・従業員自身が投資知識を必要とされる
→自分で投資対象を選ぶにあたり、適当に選ぶわけにはいきませんよね。
資産クラスの知識や自身のリスク許容度も加味する必要があります。

まとめ

企業年金にはDBとDCがあり、それぞれの特徴をまとめてみました。

ふたたび結論
  • 企業年金とは、国民年金、厚生年金に次ぐ3つ目の年金制度。
  • 導入の有無や、企業年金と退職金が両方もらえるかどうかは、会社規定による。
  • 確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の2つがある。
  • 企業型確定拠出型年金の方が大きなリターンを狙えるので、おすすめ。
  • ただしデメリットを慎重に検討した方がよい。

追加で年金に入るなら、私ならiDeCoを推します。
それは、掛金が全額所得控除されるので節約でき、投資対象を自分で選べるので大きなリターンを狙うことができ、運用益が非課税というメリットがあるからです。
企業型DCでは掛金の一部を会社が拠出してくれるのはありがたいですが、その分の資金を所得控除できないので、節税効果が最大化できません。

ただ、iDeCoも企業型DCも、60歳まで資金凍結されるというデメリットが強すぎて、サクリ個人としてはどちらにも加入しないつもりです。

毎月の手取りがかなり余っている方ならメリットの方が上回ってくるので、加入を検討してもよいかもしれませんね。

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。

参考文献https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin1101.html
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/world/guide/life/kigyo_nenkin.html
https://mponline.sbi-moneyplaza.co.jp/money/retirement/20210625nenkin-shikumiseido.html
https://diamond.jp/articles/-/337485
http://mylifemoney.jp/sonae/nenkin/10283/
https://www.resonabank.co.jp/nenkin/ideco/column/tax-saving-simulation.html

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