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あなたの投資心理が変わる?行動経済学で負けない投資家になろう

この記事は約9分で読めます。

「また損切りできなかった…うう」

損切りできずに悩むのは、投資家なら誰でも通る道ですよね。

行動経済学を知れば、涼しい顔で損切りできるようになるかも?

とりあえず結論
  • 行動経済学で、投資の失敗あるある、を説明できる
  • あるあるの理屈と逆の行動を取れば対策となる
  • 対策が奏功すれば、投資の負けが減っていくはず

この記事では、投資に役立つ4つの概念を紹介します。
・アンカー効果
・フレーミング効果
・サンクコスト
・選択のパラドックス

プロスペクト理論については以下もどうぞ。

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行動経済学とは

人間の心理や感情が、経済的な意思決定にどのように影響するかを研究する学問です。
要は、金儲けするのに感情がどのように邪魔してくるか、というものです。
株式投資でも行動経済学が役立つのは、以下の理由からです。

人は理性的な投資判断ができないことが多い

人は「噂」や「希望的観測」に流されやすく、判断の軸がフラフラしている、ということです。

市場も常に合理的とは限らない

フラフラな人が集まって市場が形成されれば、市場の動きもフラフラになります。

行動経済学で自分の投資心理を反省できる

自分の軸がフラフラしたとき、そのことに気付ける人が強い、ということです。
「あ、いまマズい心理状態だな」と気づければ対策が打てるので、ベターな投資判断につながります。

投資で使えるキーワード

行動経済学の中から、すぐに投資行動に活かせるものを紹介します。

アンカー効果:買値を意識してしまう

アンカー効果とは、最初に提示された情報が、その後の判断に影響する心理のことです。

これにより、自分の買値などが投資判断の基準となってしまい、株式本来の価値や成長性を見失ってしまいます。

例えば、購入した株が値下がりし、数か月かけてようやく買値と同じ水準まで戻ってきたとき、損益プラマイゼロを目指して同値撤退したくなりませんか?
直近の業績を考慮するとさらに高値を狙えそうなのに、自分の買値を意識してしまって安全な撤退を選びたくなります。

日常では、スーパーで値引きされた商品が安く感じるアレです。
「定価600円が今だけ半額!」というミニ海鮮丼と、もともと300円という表示の海鮮丼を比べると、前者をお得に感じるという心理です。

アンカー効果の対策は?

売りたくなったときに「買値を意識した決済判断に陥っていないか」ということを思い出し、IR・出来高・信用倍率などの他要素も検討するとよいでしょう。
例えば、「1か月後予定されている株式分割でもっと株価が上がるはずだから、あと1か月はホールドしよう」と考える場合などです。

あらかじめ離脱ポイントを設定しておくことも有効です。
例えば、「これから始めるトレードは短期で利益を出す戦略だから、損益に関わらず長くても2か月以内に反対決済する」と最初に決めて、それを厳密に守ることです。
これにより塩漬けリスクを減らせます。

私の投資行動に最も影響したのが、このアンカー効果です。
「買った価格は忘れろ」という格言の通り、ポジションを建てた価格を意識しないように意識しました。
その結果、少なくとも大きく負けることは減りました。

フレーミング効果:言い方が大事

フレーミング効果とは、同じ情報でも、その表現方法によって判断や感情が変わる心理のことです。
要するに、言い回しによって損益のイメージが変わり、投資行動に影響するということです。

例えば、「今期配当金は10%ダウンする」と聞くと残念な気持ちになりますよね。
ところが、「同業他社は平均40%ダウンしている中で、保有銘柄は10%ダウンに留まっている」と聞くとどうでしょう。
前者よりはいくぶんマシな気持ちになりませんか?
これは、同じ内容でも違う言葉で表現することで、受け取り方が変わったということです。
プロスペクト理論でいう参照基準点が変わった、ともいえます。

日常では、食べ物の例がわかりやすいでしょう。
アーモンドが効率的な栄養源だと思えば食べたくなりますが、半分以上が脂肪だと言われたら控えたくなるのと同じです。

フレーミング効果への対策は?

相対的ではなく、絶対的な基準で判断するよう意識しましょう。
配当金が10%ダウンすることについて、他社と比較するのではなく、自分の資金状況や損切り水準と照らし合わせて、自分の中で損か得かを判断する。
これで、今回の配当金ダウンは長期的に見て許容できないから売却する、という行動が取れるかもしれません。

サンクコスト:わかっちゃいるけど…

サンクコスト(sunk cost)とは、すでに支払った費用のことで、回収できないものを指します。
サンクコストに囚われると、過去の投資に執着してしまい、その後の投資判断に悪影響を及ぼします。

好例に、買建の信用取引で追証(おいしょう)が発生したときに追加資金を差し入れてしまう心理があります。
追証が発生する時点で既に多額の含み損が出ているはずですが、対応しなければその損失が確定するのでそれまでの投資がもったいないと感じ、延命するために追加資金を振り込むのです。
しかし追加資金を差し入れても株価が復活する保証はないし、資金効率が極端に落ちてしまいます。

日常でもよくあります。
2000円払って観はじめた映画が全く面白くなくても、お金がもったいないと思って最後まで観てしまうことがあるでしょう。
早めに見切りをつけて退席すれば、空いた時間でショッピングや夕飯の準備ができるかもしれません。

サンクコストの呪縛への対策は?

過去の投資は過去のものとして切り捨て、これからの投資は今後の見通しで判断することが超重要です。

先の追証の例だと、値下がり続けた結果で追証が発生し、まだまだ下がる可能性もあるわけです。
このあと何回も追証が発生したら、どこかで資金が尽きて追加資金を差し出せなくなり、複数回の追証でも吸収しきれなかった最低値で強制決済されることになります。
こうならないために、追証よりはるか前に損切り水準を決めてサンクコストを抑えたり、追証には対応せずその時点で決済を受け入れる、など、含み損に囚われずに未来を見据えた判断ができるとよいでしょう。

私も「サンクコストに囚われない」よう意識することで、涼しい顔で損切りできるようになりました。これはかなりの成長だったと思っています。

選択のパラドックス:多すぎて選べない

選択のパラドックスとは、選択肢が多すぎると逆に選べなかったり、選択に後悔したりする心理のことです。
投資対象の選択肢が多すぎると、投資すること自体に消極的になったり、投資した後に不満や不安を感じたりすることになります。

例えば、NISA成長枠対応の投資信託は1800本以上も存在します。
どれが良いか分からず、選ぶのに疲れて結局投資するのをやめてしまう、という経験、皆さんもありませんか。

日常だと、町中華でメニューを見たら100種類以上の料理があり、どれが美味しいか分からず、注文するのに時間がかかる、といった具合です。

選択のパラドックスへの対策は?

対象を、自分の条件に合わせて適切に絞り込む(スクリーニングする)とよいでしょう。
投資なら信託報酬、配当性向、構成銘柄、時価総額など、重要視したい要素はたくさんあるはずです。
絶対に外せない条件でのスクリーニングを繰り返し、最終的に残ったものから選べば、選択するストレスが減るはずです。

注意したいのが、ちゃんと条件を精査することです。
もし条件を深堀りせずになんとなく「信託報酬が最安だから~」といった理由だけで絞ってしまうと、自分の中で絶対に外せない条件まで除外してしまうかもしれません。
これはプロスペクト理論の編集(認知的節約)という心理で、選択のストレスを軽減しようと無意識のうちに働いてしまうものです。
外せない条件はすべて網羅&精査した上で、スクリーニングしましょう。

ちなみに私サクリは、信託報酬と構成銘柄、地域分散を重要視しています。

じゃあ、具体的な決済タイミングはどうする?

様々な心理のワナに打ち勝ち、ついに決済することにしたものの、じゃあいつ反対売買する?と考えますよね。
今すぐ成行注文するのか、利益が少しでも出ていたら発注するのかなど、タイミングと方法は無限にあります。

テクニカル指標を目安にする

そんなときにひとつの拠り所となるのが、テクニカル指標です。
テクニカル指標とはチャート分析のひとつで、ローソク足チャートのパターンに規則性を見出し、売買タイミングを推測する手法です。
例えば移動平均線やボリンジャーバンド、RSIやストキャスティクスなど、多くのインジケーターが存在します。

マネックス証券にテクニカル指標がわかりやすくまとめられていました。

ただ残念ながら、テクニカル指標には正確な再現性はなく、占星術とさえ言われる始末です。
これは、テクニカル指標は過去の値動きに無理やり規則性を見出したものに過ぎないからです。
それでも、自分の勘で決済するよりは、テクニカル指標を参考にして売買した方が、損したときにテクニカルのせいにできる、と私は考えています。
つまり損の責任をテクニカルに押し付けることができる分、心理的な負担が減らせると思っています。

現に、私はインデックス投資をしながら、テクニカル指標を試す意味で個別株もやりとりしています。

インデックスに沿って機械的に積み立てる

投資タイミングをなかなか狙えない人や、ずっと市場を監視することができない人、難しく考えずほったらかし投資がいい人などは、インデックス投資が良い選択かもしれません。
一度買うと決めた投資信託やETFを、定期的に定額で何年も買い続ける、というシンプルな手法です。

インデックス投資については、以下で紹介しています。

また、いろんな種類の資産クラスのインデックスに投資すれば、よく分散されたポートフォリオが簡単に作れます。

現代ポートフォリオ理論についてはこちらの記事もどうぞ。
ポートフォリオとアセットアロケーションの違いについては、こちら。
分散投資のメリットについてはこちら。

まとめ:ある意味で投資の極意

行動経済学の知識を持つことで、自分の投資心理を客観的に理解できるようになります。

ふたたび結論
  • 行動経済学で、投資の失敗あるある、を説明できる
  • あるあるの理屈と逆の行動を取れば対策となる
  • 対策が奏功すれば、投資の負けが減っていくはず

今回紹介した4つの概念を知って、それぞれの対策を実践できれば、負けない投資家に一歩近づくはずです。

投資の勉強にオススメな本は、以下でも紹介しています。


行動経済学の本もたくさん出ていますので、興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

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参考文献
https://www.toushin.or.jp/static/NISA_growth_productsList/
https://info.monex.co.jp/technical-analysis/indicators/

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。