「新NISAの2つの枠、使い分けないとダメ?…」
2024年から始まった新NISA、せっかくなら2つの枠をうまく使いたいですよね。
この記事での結論は…
- 成長枠では、つみたて枠で買えない商品や購入方法で、攻めの投資ができる
- つみたて枠では安定銘柄の長期運用で、将来の目標額となる資産を築く
- 2枠それぞれで同じ銘柄を購入・保有することは可能
- いずれも損失時の対応を決めておくことが大事
この記事では、つみたて枠と成長枠をどう使うかについて、戦略の一部を紹介します。
数ある新NISA戦略の参考になればと思います。
はじめに
新NISAとは、2024年から始まったNISA制度のことです。
それまでのNISA制度から大きく変更されたので、新NISAと呼ばれています。
NISAとは少額投資非課税制度のことで、株式などの金融商品の利益が非課税となる制度です。
株式取引自体は通常の課税口座でも可能ですが、NISA口座では利益から税金が引かれないため手取りが増え、おトクに資産運用ができます。
新NISAには、成長投資枠とつみたて投資枠という2つのシステムがあり、それぞれに特性があります。
NISA制度の基本については、以下の記事でも紹介しています。
成長投資枠
成長投資枠では、年間240万円まで購入することができます。
まとまった金額を一括で投資し、その資産が成長することを期待する投資スタイルに適しています。
一括購入のことをスポット購入ともいいます。
よく勘違いされますが、成長枠でも毎月の積立投資はできます。
毎月、少額を、一括で購入する、ということです。
つみたて枠との違いは、購入上限額が月ごとではなく、年間240万円という点です。
つまり、1月に200万円買い、5月に追加で40万円買う、といった使い方ができます。
また、つみたて枠に比べてハイリスクな金融商品を売買することができます。
例えば、上場株式やアクティブファンド(投資信託)は、成長枠だけで買うことができます。
この枠の利点は、大きなリターンを得る可能性があることです。
30年単位での投資なら、つみたて投資(ドルコスト平均法)を越える成績だと言われています。
参考リンク:https://www.j-cast.com/2023/12/25475563.html?p=all
- 臨時収入の使い道として、一括で投資をしたい方
- 市場の動向を見て、買うタイミングを自分で決めたい方
- 株主優待や配当のため、個別株を売買したい方
ただし、成長枠だけでは新NISAの枠のうち1200万円までしか購入することができません。
残枠の600万円の購入をするには、つみたて投資枠を併用する必要があります。
また、ハイリスクな商品を売買できてしまうため、NISA最大の弱点である損失を確定してしまうとリカバーが困難です。
年間240万円までしか購入できないため、個別株やETFを売買できるからといって、頻繁な売買は控えた方がよいでしょう。
NISA制度のデメリットについては、以下の記事で紹介しています。
つみたて投資枠
つみたて投資枠では、毎月10万円までの買い付けを行うことができます。
毎月一定の金額を投資し、長期的な資産運用を目指す投資スタイルに適しています。
成長枠との違いは、購入上限額が月ごとに定められている点です。
つまり、どんなにお金持ちの人でも、毎月10万円までしか購入できないということです。
また、成長枠に比べてローリスクな金融商品だけを、購入可能対象として扱っています。
つまり、一攫千金は狙えませんが、長期運用を前提として、リスクを分散させながら安定的な運用が見込めます。
- 安定的に資産を増やし、最終的に老後資金、教育費といった大金を用意したい方
- 市場の動向を気にすることなく、ほったらかし投資で資産運用したい方
つみたて枠だけで、新NISAの1800万円ぶんをすべて買うことができます。
これは、もともと金融庁が長期投資を推奨しているからです。
「貯蓄から投資へ」というキャッチコピーの本質は、年金だけでは老後資金を賄えないから、各自で資金を準備してくれ、というものです。
ローリターンでありながらもより確実に資産を増やせる仕組みを推していきたい、と金融庁は考えているのです。
投資のリスクを分散させる基本テクニックについては、以下の記事で紹介しています。
2つの枠を併用するなら?
成長枠とつみたて枠、どちらかだけで運用するのはもちろんアリです。
ここでは、2つの枠を併用する場合に考えられる戦略を、いくつかのパターンで紹介します。
コア・サテライト戦略
運用資産を「コア=守り」と「サテライト=攻め」の2つに分け、それぞれで異なる投資対象を運用することです。
保有配分は、守り:攻め=7:3とか、8:2あたりがよいと言われています。
コア(守り)は安定したリターンが期待できる長期分散投資で運用することが一般的です。
全世界株式インデックスファンドや、バランスファンドなどが考えられます。
サテライト(攻め)はハイリスク商品に投資し、高いリターンを狙うのが一般的です。
アクティブファンドや、個別銘柄などが考えられます。
具体的な例として、つみたて枠でeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を毎月4万円、成長枠でグローバルX 半導体を毎月1万円、トータル5万円を買う、ということが可能です。
成長枠を併用しつつ、やっていることは積み立て投資と同じことです。
同じ銘柄戦略
つみたてしつつ、暴落時に同じ銘柄をスポットで買い増す、という戦略です。
先述の通り、同じ銘柄を2枠でそれぞれ保有することは可能です。
例えば、「リスクを取りたくないから全世界株式インデックスファンドしか買わない!」と決めたとします。
そして、つみたて枠だけ使って毎月3万円ずつeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を買います。
そのうち世界的な暴落がきて、保有しているファンドの価額が下がったところで、成長枠にて一括で100万円ぶんのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を購入する、というような戦略です。
これは株式投資のナンピン買いに似ています。
平均の購入単価を安くすることができ、暴落からの復活時に大きく資産を増やせる可能性があります。
ただし、一括購入時以外は成長枠が眠ってしまうので、普段の投資機会を逃してしまうという意味ではもったいないともいえます。
長期投資と優待・配当戦略
成長枠とつみたて枠のメリットを足したような戦略です。
つみたて枠では比較的安定した銘柄で、配当を再投資しながら長期運用し、こちらで最終的な資産を築きます。
成長枠では個別株などで短期的な配当や株主優待を狙い、日々の生活にちょっとおトク感を出すための、いわばお楽しみ枠という設定です。
例えば、つみたて枠でeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を毎月3万円購入し、それを継続します。
それとは別に、既にある預貯金やボーナスなどの臨時収入をただ眠らせておくのではなく、米国株式配当貴族(年4回決算型)を一括で100万円ぶん購入し、放置します。
毎月の積み立ては継続しつつ、普段使わない現金を配当ファンドという資産に変えることで、お小遣いがもらえるシステムを作るわけです。
ただし、配当ファンドが大きく値下がりした場合はNISAでの含み損となります。
そのときにロスカットとして売却するのか、さらに買い増すのか、何もせず静観するのか、などの出口戦略も決めておく必要があります。
まとめ
ということで、今回は新NISAの2つの枠をどう使うかについて、私サクリが考える戦略の一部を紹介しました。
- 成長枠では、つみたて枠で買えない商品や購入方法で、攻めの投資ができる
- つみたて枠では安定銘柄の長期運用で、将来の目標額となる資産を築く
- 2枠それぞれで同じ銘柄を購入・保有することは可能
- いずれも損失時の対応を決めておくことが大事
他のブロガーさんや証券会社も、たくさんの戦略を紹介しています。
しかし、今回の内容も含め、確実に儲かる投資手法は存在しません。
リスクとリターンはトレードオフなので、皆さんのリスク許容度や目標金額に合わせて、少額から始めてみるとよいでしょう。
リスク許容度については、以下の記事でも紹介しています。
その他、投資の勉強に役立つテキストも紹介していますので、よければご覧くださいね。
ちなみに私サクリの新NISAの投資方針は、別の記事で紹介する予定です。
※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。