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SBI全世界高配当株式ファンドってどう?構成銘柄や実績は?

この記事は約8分で読めます。

2024年10月1日から始まった、SBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)

配当もキャピタルゲインも狙うという、とても魅力的な投資信託です。

今回はこのファンドを、2024年12月30日基準の月次レポートをもとにレビューしてみます。

なおこの記事は定期的に更新していきます。

とりあえず結論
  • 4つのマザーファンドに投資するファンド
  • 9割以上が株式、うち56%が米国に偏っている
  • セクタ構成はディフェンシブと景気敏感株のバランスが良さそう
  • どのファンドも世界各国の金利の影響を注視しているよう
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直近の成績

期間収益率

過去1ヵ月:0.96%
設定来:6.84%

出典:2024年12月30日基準の月次レポート

設定来(≒2か月)リターンはプラス、1ヵ月リターンも0.96%となんとかプラスでした。
SBI日本高配当株式ファンドのときよりも、ちょっとスタートダッシュが鈍い気もしますね。

分配金

分配金はまだ出ていません。
初回の決算日は、2025年2月20日です。

ポートフォリオの状況

・株式組入比率 92.84%
・配当利回り 4.10%

株以外の約7%の資産クラスが気になりますね…。

組入銘柄・セクタ比率

ファンド全体の構成銘柄数は公表されていません。
今回の月次レポートからは、米国高配当株式マザーファンドは40銘柄であることだけはわかりました。
また組入上位30銘柄までは公開されました。

組入銘柄

※▼リストはタップすると拡大します。

出典:2024年12月30日基準の月次レポート

各銘柄の保有比率は最大でも2.19%であり、かなり細かく分散を効かせているようです。

統計学的に、分散投資の有効性が出てくるのは70銘柄以上といわれています。
勘ですが、ファンドの規模からするとこの全世界ファンドも全体では70銘柄以上ありそうな気もします。

地域・セクタ

※▼リストはタップすると拡大します。

出典:2024年12月30日基準の月次レポート

地域はアメリカ56%とかなり偏っています。
地域分散は弱く、地政学的リスクは高いといえるでしょう。

セクタ比率上位はエネルギーで約13%、銀行で約12%を占めています。
銀行は景気敏感株に分類されることが多いセクタです。
ただエネルギーのセクタ分類は曖昧なことが多く、MSCIではディフェンシブ、モーニングスターでは景気敏感株とされています。

3位以降は医薬品、電気通信、公益事業など、典型的なディフェンシブセクタが占めています。

全体としてはディフェンシブとセンシティブが半々くらいのバランスとなっているようです。

ファンドの運用状況

このファンドは4つのファンドから成るので、4種類の運用状況が公開されています。
以下は全て、2024年12月30日基準の月次レポートから抜粋・要約したものです。

SBI米国高配当株式マザーファンド

12月はS&P500, NYダウともに下落。
FRBの利下げ期待、トランプの財政政策、規制緩和への期待から、利下げペースの鈍化予想が強まった。
通信サービス、一般消費財、ITなどが上昇。
素材、エネルギーなどは下落した。

ファイザーなどがプラス寄与。
CVSヘルスなどはマイナス寄与。
今月のポートフォリオ管理で、金融セクタなどのウエイトが増え、公益セクタは減った。

米国の利下げは観測されているものの、利下げへの期待感は後退していると考え、金融相場への期待は低下していると考える。
一方で業績相場への期待が強まっていることから、企業ごとの利益成長が注目されると考える。

SBI欧州高配当株式マザーファンドⅡ

12月はいってこい相場だった。
その理由は、フランスの政局混乱、トランプ政権下での関税懸念などがマイナス材料とされた一方、中国経済回復への期待、米欧利下げの期待がプラス材料となったことだった。
セクタではIT、銀行、自動車などが良く、ヘルスケア、公益などが軟調だった。
国別ではイタリア、フランス、ドイツなどが良く、イギリス、スイスなどが軟調。

エアステ・グループ・バンクなどがプラス寄与。
ノボ・ノルディスクなどがマイナス寄与。
今月のポートフォリオ管理で、金融などのウエイトを増やし、必需品・通信サービスを減らした。
国別ではドイツ、オーストリアを増やし、イギリス、フランスなどを減らした。

欧州ではECBが連続利下げを実施し、さらなる利下げが期待されている。
当面は利下げのインパクト、景気後退懸念、後退時の株価への影響などが注目されている。
中国の景気刺激策による株価影響も注目されている。
ファンドとしてはGRANOLASなどへの投資も考えている。

※GRANOLASとは、欧州を代表する11企業の略称。GAFAMみたいなもの。
高く安定した成長性、強固な財務基盤、良好な配当利回りなどが特徴。

→ GRANOLAS(グラノラス)-投資一般人の壁-

SBI日本高配当株式マザーファンド

12月の日本株は米国株やトランプ政権、日銀の発言、為替などの影響で大きく上下しつつ、最終的には日経平均が39894円で終えた。
大型株では自動車銘柄やソニーなど輸出関連株が上昇。
JR東海や東日本などの内需株の下落が目立った。
セクタでは輸送用機器、海運、その他製品、電気機器が上昇。
電気・ガス業、陸運、医薬品がマイナスとなった。

高配当利回り銘柄のパフォーマンスは不調だったが、個別銘柄の良好なパフォーマンスで上昇した。
フジクラ、NOK、いすゞ自動車などがプラス寄与。
大和工業のマイナス寄与などが目立った。

まだしばらく日米の金利差が流動的で、為替変動リスクに振り回されそう。
なので、ファンドとしては円高リスク、円安リスク双方をバランスよく監視していく。

SBI新興国高配当株式マザーファンド

12月の新興国株式市場は下落。
上旬は中国経済回復期待から上昇。
中旬はドル高により下落。
下旬も米国長期金利の高止まりなどを受けて小幅上昇にとどまった。

引き続き、アラムトリ・リソーシズ・インドネシアやペロトチャイナなどがプラス寄与。
SKテレコム、スタンダード・バンク・グループなどがマイナス寄与。
インドネシア、タイ、UAE、南アフリカ、ブラジルなどに追加投資を実施。

欧州ではさらなる利下げが期待されている。
米国では利下げが実施されているものの、利下げへの期待感は後退していると考える。
中国の株価への影響も注目されている。
引き続き新興市場の高配当銘柄中心に投資していく。

全体として、欧州と米国の金融政策に振り回されそうな予測です。

ファンドの基本情報

ファンド特色
4つのマザーファンドを投資対象とし、高水準のインカムゲインと中長期的なキャピタルゲインによるトータルリターンを追求する。
基本的には、ポートフォリオの平均配当利回りが市場平均を上回るように銘柄選定・投資比率決定を行う。

設定日
2024年10月1日

手数料
買うとき(購入時手数料):なし
保有時(信託報酬):0.055%
売るとき(信託財産留保額):なし
コストは激安の信託報酬のみです。

分配方針
決算月は年4回(2・5・8・11月)。
分配金額はファンドがいい感じに決定し、原資が少額の場合は分配しないこともあるようです。

分配対象額の範囲は、繰越分を含めた経費控除後の配当等収益と売買益(評価益を含みます。)等の全額とし、委託会社が基準価額水準、市場動向等を勘案して収益分配金額を決定します。ただし、分配対象額が少額の場合等は、分配を行わない場合があります。また、将来の分配金の支払い及びその金額について保証するものではありません。

交付目論見書より

販売会社
SBI証券、SBI新生銀行の2つだけです。
このファンドを買うにはどちらかを利用する必要があります。

NISA適用
成長投資枠のみで購入できます。
つみたて投資枠では、条件を満たしていないので購入できません。

少額積立可能
100円以上1円単位で買付できます。
最低100円からで、101円でも買えるということです。
売却時も100円以上1円単位で発注できます。

まとめ

今回はSBIの欲張りファンドについて、私見とともに紹介しました。

ふたたび結論
  • 4つのマザーファンドに投資するファンド
  • 9割以上が株式、うち56%が米国に偏っている
  • セクタ構成はディフェンシブと景気敏感株のバランスが良さそう
  • どのファンドも世界各国の金利の影響を注視しているよう

構成する資産クラスはほとんどが株式なので、全体としてはハイリスクな商品に分類されるでしょう。
NISAの成長投資枠でしか購入できないことからも推測できます。

魅力的な商品ですが、買い方次第でいくらでもリスク低減を図れるので、ここまで読んでいただいた皆さんが損しないような投資行動を取れることを、心から祈ります。

参考資料
SBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)
月次レポート 2024年12月30日基準

株式ファクターの循環性計測:ファクター・ベースのアプローチ

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。