「証券会社から追証のお知らせが来たんだけど、どうすればいい…?」
追証は信用取引での残高不足のことで、最悪の場合は法廷措置がとられてしまいます。
この記事では追証に迫られている方に向けて
・追証とは何か
・発生したらどうなるか
・どうすべきか
をサクッと解説。
すぐに対処すれば間に合うかもしれませんので、ぜひ確認しておきましょう。
- 追証とは一時的な借金の状態
- 信用取引で発生する
- 無視すると法的措置が取られる
- 追証を避けるには信用取引でも低倍率で行う
追証って?
追証とは信用取引で不足している金額のことで、要は一時的な借金の状態です。
通例で「おいしょう」と読みますが、追加保証金の略です。
ただの借金ではなく、返済期限が2日程度と極めて短いことに注意が必要です。
信用取引って?
信用取引とは、資金の一部を担保にして、手持ちよりも多くのお金で取引できる制度です。
手持ちを超える分は証券会社から借りている、という体裁をとります。
具体的には手持ちの約3.3倍の資金で売買できます。
手持ちが50万円でも150万円の資金を持っているものとして売買できるため、株価が高すぎて現物では買えない株などを買うことができます。
また、回転売買や空売りができることも信用取引の特徴です。
しかし大きなリスクとして、本記事テーマの追証が発生する可能性があります。
(→ 信用取引入門講座 SBI証券 2008年)
※保証金倍率などが最新とは異なるので、信用取引制度の基本部分のみ参考にしてください
なぜ追証が発生する?
追証は、株価の大幅な変動によって、担保としている手持ち金が足りなくなると発生します。
担保としているお金を委託保証金といい、含み損がそのまま引かれるため、毎日変動します。
SBI証券(国内株)の場合、委託保証金が買い建て額の20%を下回ると追証となります。
例えばこんな感じ
手持ちが50万円で150万円の株を買い、120万円まで値下がりした場合を考えます。
150万→120万なので、含み損は30万円となります。
この30万円を手持ち金の50万から引くと、手持ち金は20万円です。
20万÷150万=13%となり、リミットの20%を下回ってしまいました。
150万円の20%は30万円なので、現在の手持ち金だと10万足りません。
ということでこの場合は、10万円の追証(入金義務)が発生します。
なお、買い建てだけではなく売り建て(空売りでポジションを持っている場合)でも同様のメカニズムで追証が発生します。
その場合は、売り建て時よりも株価が上昇した場合に該当します。
追証を放置するとどうなる?
追証を放置するとどうなるか、SBI証券を例に紹介します。
いかなる理由でも追証を無視してはいけません。
2日後には強制決済され、確定損が大きいとさらなる迅速な入金を求められます。
(→ 信用取引における追証発生後のスケジュールを教えてください SBI証券)
1.追証発生当日:注文に制限がかかる
新規信用注文、現物買い、現引き注文ができなくなります。
現引き注文とは、信用買いした銘柄を現物として買い取るもので、信用を買い建てたときの総額が現金として必要になります。
これらは即日に売却や入金などをして追証が解消されたとしても、初日は取引不可能です。
信用返済注文、現物売り、現渡し注文は可能です。
現渡し注文は現引きの逆で、空売りしている銘柄を現物として引き渡す取引です。
これらは当日中の追証解消の関係なく発注することができます。
つまり発生初日は、新たな買い/売りポジションを建てることができず、返済系の注文のみ可能です。
2.発生の翌営業日:追証のリミット日
本日中に追証として不足金額を証券口座に入金する必要があります。
追証が入金できない場合、信用新規、現引き、現物買いができません。
ただし追証をしなくても、信用返済、現渡しといった返済系の注文はいつでも可能です。
本日中に入金が確認できれば、すべての注文が可能になります。
つまり発生翌営業日は、追証の入金までは返済系注文のみ、入金後は通常通りすべての注文が可能となります。
注意点として、一度発生した追証は自動的には解消されません。
暴落翌日に急騰した場合など、株価的には追証が解消されたとしても、証券会社からのリクエスト金額を工面しなければなりません。
3.発生の2営業日後:12時で強制決済
12時までに追証の入金が確認されないと、後場の寄付き(13時30分)で強制決済されます。
買い建てしている場合は成行で強制的に売却されてしまいます。
ほとんどの場合は大きな含み損がそのまま確定損となります。
追証が発生している経緯を考えれば、強制決済で利益となる場合はまずありませんよね。
ここで、確定損がもともとの手持ち金を超えてしまった場合はどうなるでしょうか。
その場合、現物で保有している銘柄があれば自動的に決済されます。
それでも損失が埋められない場合は、迅速な現金入金を求められます。
普段はお世話になっている証券会社が、超短気な取り立て屋になってしまうのです。
それでも払えないとどうなる?
このページを参考にしました。
まずは証券会社から督促状が届くでしょう。
期日までに払えなければ法的手段も辞さない旨が通達され、いよいよ追い詰められます。
さらに支払いが一日遅れるごとに年率14%以上の損害遅延金が上乗せされます。
次に証券口座が凍結され、一切の取引ができなくなります。
そして証券会社から訴訟を起こされ、給与や資産が差し押さえられる可能性が出てきます。
さらに、追証の支払いが2カ月以上遅れると、いわゆるブラックリスト(信用情報)に載ります。
ブラックリストに載っている間は各種ローンが組めなかったり、クレジットカードも作れません。
ブラックリストから消えるのに5年以上かかると言われているので、社会人としてはかなりの長期間不便を強いられることになります。
それでも支払い義務は続くので、行きつく果ては自己破産などの債務整理となるでしょう。
追証にはどう対応すれば?
追証は無視してはいけません。
では、どう対応すればよいでしょうか。
1.すぐに自分で決済する
追証発生が通知されたらすぐに反対売買をします。
ある程度の損失が確定してしまいますが、これが最も無難かもしれません。
なぜなら、追証が発生するほどの株価変動はしばらく続いたりさらに損失が膨らむ方向に動くことが多いからです。
毎日暴落が続くと、強制決済までの間に損失が拡大してしまうかもしれません。
確定損のキズは決して浅くないでしょうが、致命傷になるよりはマシだと考えることができます。
2.すぐに入金する
不足額をすぐに入金すれば追証は解消され、通常の取引ができます。
要は将来的に株価が回復することを期待した延命措置です。
しかし追証額ジャストを入金しても、翌日には新たな追証が発生することもザラです。
追証に即時入金で対応する場合は、追証額よりもかなり多めに入金する必要があります。
入金の代わりに、現物として保有している銘柄を売却することで保証金に充てることもできます。
3.現引きとする
信用買い建ての場合、その銘柄を買い建てた時の金額を入金して現物として買い取ることができます。
資金を絞りだして力技で追証を解決する方法です。
現物として保有できれば追証の心配はなくなりますし、配当、株主優待の対象にもなります。
しかし株価の値下がりによる含み損リスクは常について回ります。
追証を避けるには
追証を発生させないためには、信用取引でも余裕を持った金額で取引することに尽きます。
3.3倍をフルに使ってトレードすると、その分だけ値動きも大きく振り回されやすくなります。
例えば1.5倍までにしておくなどすれば、それなりに値下がりしても追証まで余裕があるはずです。
いざとなれば現引きできるくらい、つまり現物で買えるくらいの金額に留めてトレードするのが無難かもしれませんね。
まとめ:誰でもいきなり借金
今回は追証の基本についてまとめてみました。
- 追証とは一時的な借金の状態
- 信用取引で発生する
- 無視すると法的措置が取られる
- 追証を避けるには信用取引でも低倍率で行う
追証はFXと同じくレバレッジが効くので、少額でも利益を狙える反面、手持ち金額以上の損失となる可能性もあります。
人間はコンピュータと違って迷いやすく、冷静な判断ができない生き物です。
これから信用取引を始めようとしている方は、自分が思っているよりもかなりの少額でトライした方がよいでしょう。
今まで積み上げてきた利益が一晩で吹き飛んでしまわないよう、うまく資産形成していきましょうね。
参考文献
信用取引において、あといくら下がったら追証が発生するか計算できますか – SBI証券
※文中に出てくる具体的な投資商品や数値などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。