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金利を7分で復習。利下げって結局なんなの?株価への影響は?

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「金利が上がるとか利下げとか、つまり喜んでいいってコト…?」

同じ金利上昇でも、預金金利が上がれば貯金が増えるので嬉しいし、住宅ローン金利が上がればローン返済が苦しくなります。

今回は、金利が上下すると私たちにどう影響するのか、個人消費者の立場からサクッと復習します。

読み終わる頃には金利の知識がついて、経済ニュースを読むのが楽しくなりますよ^^

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とりあえず結論
  • 金利とはお金のレンタル料のこと
  • 金利は市場で勝手に決まり、日銀が介入できる
  • 利下げとは、日銀が金利を下げようとすること
  • 利下げすると、お金を借りている側の負担が減る(手数料が減る)
    →株価は上昇、住宅ローン返済額は減少、為替は円安傾斜、物価は上昇傾向
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金利が変動したら損する?

金利とは、お金を借りた人が、貸してくれた人に支払うレンタル手数料です。
「金利が下がる」とは、この手数料が減ることです。
借りた人からすれば、余計に支払うお金が減り、嬉しいことです。
貸した人からすれば手数料という儲けが減ってしまうので、悲しいことです。

ニュースで、「利下げ期待が先行し、日本株は軒並み上昇」などと聞いたことはありませんか?
金利の変動で自分が損するか得するか迷ったときは、自分がお金を貸している側か、借りている側かをチェックすればいいのです。

金利ってどう決まるの?

金利は市場の需給で決まり、日銀が介入できる

金利は市場の需給で自然発生的に決まります。

お金を借りたい人がたくさんいるのに、貸してくれる人が少ないとき(需要が多く供給が少ない)、金利は上がります。
数量限定の商品を大人数が買うときと同じで、高くても買いたい人がいればその人に売りますよね。

逆に、貸したい人やお金が余っているときは、「手数料は安くてもいいから、誰かお金を借りてください」となり、金利は下がります。

日銀が決めるのは目標となる金利

日本銀行(日銀)は、この自然発生的に定まる金利をいじくることができます。
といっても直接金利を変更できないので、目標となる金利(政策金利)を定め、それに向かって市場を誘導します。

例えば、金利を下げたいときに発動する買いオペという公開市場操作では、
・日銀が銀行から国債を買い、銀行に代金を支払う
・銀行は手持ちのお金が増える=市場に流通するお金が増える
・お金が余る→安い手数料で貸しますよ状態=金利が下がる
というメカニズムで金利を調整します。
市場上流の日銀が目標となる金利を変えることで、その下流である銀行や企業の金利も連動して変わります。

なお、金利には長期金利と短期金利の2つがあり、日銀が操作&誘導できるのは短期金利です。
つまり政策金利とは短期金利のことです。
短期金利をいじることで、間接的に長期金利にも影響が出てきます。

利下げ(金融緩和)

利下げ(金融緩和)とは政策金利を引き下げ、金融機関から企業などへの貸出金利を下げることで、景気を活性化させるために行われます。
要は手数料が安くなるので、お金を借りやすく(=返しやすく)なります。

一般的に株価は上昇するとされます
企業は安く借りたお金で設備投資など事業の拡大ができ、さらなる増収を見込めるからです。
半面、安全資産である債券などは下落傾向になります。
債券を売ったお金で株を買う人が増えるからです。

利下げしまくるとマイナス金利になります。
2024年3月まで設定されていた金利は、マイナス0.1%でした。
金融機関が日銀にお金を預けると、0.1%の金利を支払うハメになるということです。
金融機関としては預けると損するので、自分で保有し市場に流通させようとします。
市場にお金が流通する=お金がダブつく=市場金利が下がる、という魂胆でした。

為替は円安傾向になります。
利下げすると預金金利が下がるので、お金を日本の銀行に預けても大して増えません。
より金利の高い外国の銀行にお金を預ける人が増えます。
つまり、日本円が売られて外貨が買われるので、円の価値が下がって円安となります。

日常生活への影響

利下げでは住宅ローン金利も下がる傾向にあります。
私たちは銀行からお金を借りる側なので、金利が下がることはローン返済額が減ることを意味します。
ただしこれは変動金利の場合です。

銀行の預金金利も下がるので、お金を預けているだけでは増えにくくなります。

物価は上がる傾向です。
低金利では経済が活性化し、伝搬的に人々の収入が増えます。
例えば、個人がマンションを買う→儲かったマンション業者がモノを買う→モノを売ったお店が儲かる→お店の人も何か買う→以下ループ。

要は全員がお金持ちになるので、今までよりモノが買われ始めます。
しかしモノの供給量には限度があるので、値段を上げて少ない販売数でも儲けようとします。
つまり品薄によって物価が上がります。
物価上昇は、賃金上昇とセットなら景気の安定化につながる良い現象です。

利上げ(金融引き締め)

利上げ(金融引き締め)とは政策金利を上げて、好景気にブレーキをかけるために行われます。
手数料が増えるのでお金を貸す側は喜びますが、借りる側には苦しい局面となります。
その他、理論上は金融緩和とは反対の影響が出てきます。

一般的に、株価は下落傾向、債券は上昇傾向となります。

為替は円高に傾斜します。
輸出関連銘柄は減益となりがちです。
例えば、アメリカで100ドルで販売している自転車があり、円安時は15000円の利益だったのに、円高だと10000円の利益にしかなりません。

日常生活への影響

利上げでは住宅ローン金利も上がるので、返済額が増える傾向にあります。
だからといって固定金利を選ぼうとしても、変動金利より高めに設定されているのが現実です。

預金金利は上がるので、銀行にお金を預けておくだけで増えやすくなります。
定期預金をするならチャンスともいえるかもしれません。
ただ定期預金は満期まで預けて初めてメリットを享受できる商品なので、欲張らないようにしましょう。

物価は下がる傾向です。
景気が悪くなり、賃金が下がり、経済活動が低迷します。
みんなが節約生活をするような灰色の世界です。

まとめ

ということで、金利と日常生活の関係についてまとめてみました。
ここまで読んでくれた方は、涼しい顔で金利トークができるはずです。

とりあえず結論
  • 金利とはお金のレンタル料のこと
  • 金利は市場で勝手に決まり、日銀が介入できる
  • 利下げとは、日銀が金利を下げようとすること
  • 利下げすると、お金を借りている側の負担が減る(手数料が減る)
    →株価は上昇、住宅ローン返済額は減少、為替は円安傾斜、物価は上昇傾向

景気の安定化には緩やかな物価上昇と賃金上昇、つまりインフレーションが望ましいとされています。
しかし現在の日本は賃金は変わらず物価だけが上昇している、スタグフレーションという悪いとこ取りの状態です。

当面は賃金上昇への期待は捨てて、自力で資産形成するしかないんですね…。
頑張りましょう。

参考文献

https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/seisaku/b28.htm
https://www.bk.mufg.jp/column/keizai/0018.html
https://www.bk.mufg.jp/column/keizai/0019.html
https://www.orixbank.co.jp/column/article/290
https://www2.kobe-u.ac.jp/~kawabat/modernecon_j7.html
https://www.bk.mufg.jp/column/keizai/b0051.html

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。