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新NISAのデメリット6つ:知っておきたい対策とは

この記事は約9分で読めます。

「新NISAを始めたいけど、損するか心配…」

「デメリットもちゃんと理解してから始めたいな…」

という方へ、この記事ではNISAのデメリットと対策を、少し詳しく解説しています。
お金のことに詳しくない方でも安心して読めますので、NISAを始めるのが不安…という方にもピッタリ。

なお、文中の「NISA」とはすべて「新NISA」のことを指します。

とりあえず結論
  • 以下のデメリットすべてに対策がある
  • 損益通算、繰越控除ができない(旧NISAと同じ)
  • 非課税枠の年内再利用や持ち越しができない
  • 保有中の銘柄をNISAに移すことはできない
  • 長期運用するなら、資金が拘束される

そもそもNISAって何?という人は、【給与少なめでも大丈夫!2024年からのNISA入門】の記事もどうぞ。

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デメリットを知る意義

NISA最大のメリットは利益に非課税という点ですが、注意すべきデメリットもあります。

デメリットを知ることでNISA制度への理解が深まり、自然とその対策を取ることにつながります。
せっかく生涯を通して大きな資金を運用するなら、納得してから始めたいですよね。

新NISAのデメリットと対策

さっそくみていきましょう。
デメリット1~2は、「損したときにダメージが大きいですよ」という話です。
デメリット3~6は、「潤沢な投資資金がある場合に出てくる問題」という話です。

デメリット1:損益通算できない

損益通算とは、1年間での複数口座の利益と損失を合算し、最終的に支払う税金を減らすことができる仕組みです。
株式の運用は「譲渡所得」に該当し、通常の課税口座では損益通算ができます。

例えばA口座で100万円の利益を確定し、B口座で70万円の損失を確定したとします。
損益通算すると利益は30万円と判定され、その年は30万円に対する税金を払うだけで済みます。

ところがNISA口座では損益通算できないので、NISA口座で損失を確定させると、他の口座の利益と通算できません。
つまり、課税口座の利益には課税され、NISA口座の損失は100%の損となります。

例えば課税口座Aで100万円の利益を確定し、NISA口座Bで70万円の損失を確定したとします。
この場合、B口座の損失である70万円をまるまる失うことになり、加えてA口座の利益100万円に対する税金を支払うことになってしまうのです。

対策は?

損失する可能性を減らし、実際の損失額も減らせればいいのです。
そんなときの鉄則が、分散投資です。
分散投資については、以下の記事で詳しく解説しています。

中でも有効とされているのが、時間の分散です。
投資するタイミングをいくつかに分散させることです。
投資信託を100万円一括で買うのではなく、ひと月に10万円ずつ10ヵ月かけて買うような場合です。

【余談ですが何か】
NISAに限らず、投資は運用期間が長くなるほどそのリスク(価格変動≒損や益の波)が小さくなります。
あのリーマンショックでどん底に落ちた世界の株価ですが、それでも5年後にはもとの水準近くまで回復した実績があります。
長期間の運用でリスクが小さくなることは、過去200年間のデータの検証結果からも明らかになっています。

私はNISAで投資信託への積立を始めて5年ほどですが、最初の3年間はずっとマイナスのリターンでした。
それが今ではプラス30%と大きく躍進しています。
このように、投資期間の中で損と益の大きな波を交互に経験するのは、ごく当たり前のことなのです。

投資をする以上、一時的な損失局面は絶対に、それも繰り返し訪れます。
一日単位で売買をしている人からすれば、ある一日だけの暴落でも慌ててしまうでしょう。
しかしNISAで運用している人は、投資期間を何十年というとても長い時間軸に設定しているはずです。
何十年という長さに比べれば、たった5年間の下落局面など、本当に「一時的だ」と冷静な目で見られるでしょう。

デメリット2:繰越控除できない

繰越控除は損益通算と似ています。
損益通算は1年間での損益を通算できるという制度でした。
繰越控除は最大3年間、資産運用による損失を繰り越して控除できる、というものです。

株式の運用による場合、正確には「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」といいます。
NISAではこれが使えません。

対策は?

損益通算不可への対策と似ていますが、損が出ているNISAを短期で売却しない、という選択が有効でしょう。
損失を確定させなければこのデメリットは発動しません。
長期間での運用を見据え、短期間での含み損を確定させずにやり過ごすことが、この局面の賢い乗り切り方だと思います。

デメリット3:非課税枠をその年内に再利用することはできない

NISAでは、利益が非課税となる投資金額が年間で決まっています。
つみたて投資枠では年間120万円まで、成長投資枠では年間240万円までの、合計360万円となっています。
簡単に言うと、どんなお金持ちでも、1年間にNISAで投資できるお金は360万円だけですよ、ということです。

例を挙げてみましょう。
お正月に成長投資枠(最高240万円)で200万円ぶんの投資信託を一括購入したとします。
半年後、その投資信託を売却しました。
さて、また別の投資信託を買おうとしましたが、今年の成長投資枠は残り40万円しかありません。
資産を売却して手元にはお金が戻ってきていても、NISAの成長投資枠では今年はあと40万円ぶんしか投資できないのです。

つまり、1年間でその投資枠までしか買うことができないということです。

対策は?

そのため、投資計画をしっかりと立て、非課税枠を有効活用することが必要です。
ここで重要なのが、無理して年間投資枠を使い切らなくてもよい、ということです。
投資はあくまで余裕資金で行うものですし、経済状況は千差万別です。
日々の生活費を切り詰めてまで、投資枠を埋める必要はないのです。

具体的には、毎月1万円を投資に充て年間で12万円となるようにするとか、毎月5万円を投資して年間60万円にするとか、個人のお財布事情に合わせて無理のない額を投資に回せばいいのです。

そしてなにより新NISAでは、非課税保有限度額が再利用できるようになりました。
これにより、さらに流動的な資産運用が可能となりました。
新NISAの非課税保有限度額については、別の記事で紹介する予定です。

デメリット4:非課税枠を翌年以降に持ち越す事はできない

未使用の非課税枠は翌年に持ち越すことができません。
例えば投資信託を300万円ぶんだけ買い、60万円の枠は残して年越ししたとします。
翌年には新規に360万円の枠が設定されますが、前年の残りである60万円を足して420万円、とすることはできません。
年間投資枠はみんな一律に360万円が限度であり、それを増やしたり翌年に持ち越すことはできないのです。

対策は?

デメリット3の年内非課税枠を再利用できないことと同じく、計画的に投資することが重要です。
といっても、年間投資枠までフルに投資できる財力がある方が対象です。

資金に余裕がないのに、無理して360万円の枠を使い切る必要はありません。
私は普段の手取りからして投資に回せる額は毎月2万円ほどです。
ただ、寝かせてあるだけの貯金も投資して運用したいので、貯金からも1万円出しています。
そういうわけで、毎月トータル3万円を投資に回しています。

デメリット5:現在保有中の商品をNISA口座に移せない

NISA口座の対象は新規に購入する金融商品のみで、既に保有している投資商品をNISA口座に移すことはできません。
また、通常の課税口座で既に保有している投資商品を、あとから非課税にすることもできません。
せっかくこれからの値上がりが期待できる商品を見つけても、通常の課税口座で購入してしまってはNISA運用できないのです。

対策は?

NISAで運用したい商品は、NISA口座で購入すればよいのです。
間違えやすいポイントですが、NISA口座はひとつしか稼働できないのに対し、通常の課税口座はいくつでも同時稼働できます。
長期を見据えての投資であればNISA口座、デイトレードやスイングトレードなど短期での投資(投機)目的であれば通常の課税口座、といった具合に使い分けるのがよいでしょう。

ただしNISA口座の場合は年間投資枠を意識して、計画的に投資しましょう。
また、証券会社によって買える商品が異なります。
証券口座を作る際は、買いたい投資商品を取り扱っている証券会社に申し込みましょう。

商品から証券会社を横断的に調べるには、ウェルスアドバイザーが便利です。

デメリット6:事実上、長期間資金が拘束される

できるだけ損をせずに利益を増やすには、何年にも渡る長期間の保有・運用が重要です。
なぜなら、投資元金と利益が一緒になって再投資される、複利が効いてくるからです。

しかし、NISA口座で保有している投資商品を数日や数ヵ月といった短期間で売却してしまうと、少ない利益しか得られない可能性があります。
また、売却したときに商品が値下がりしていたら、損益通算できない損失となってしまいます。

こういうときの戦略のひとつに、値上がりするまで待つ、というものがあります。
この戦略ではひたすら待つだけなので、結果として長期間の資金拘束となります。

対策は?

NISAで投資する金額は、長期間手を付けなくても問題ない額に設定しましょう。
ただし100円など極端な少額では複利の効きが弱く、せっかくの利益も少額に留まってしまいます。

例えば年収500万円、毎月の生活費が15万円、貯金が1000万円、という人を考えます。
この場合、貯金額のうちすぐに使うことはないであろう、200万円くらいは投資に回してもいいのではないか、と個人的には思います。

あくまで、NISAは貯金よりはマシ、くらいに考えておくのが、大きく失敗しないための王道です。

まとめ:デメリットは対策できる

というわけで、今回はNISAのデメリットについてまとめてみました。
ここまで読んでくれた方は、もうNISAは怖いものではなくなっていることでしょう。

ふたたび結論
  • 以下のデメリットすべてに対策がある
  • 損益通算、繰越控除ができない(旧NISAと同じ)
  • 非課税枠の年内再利用や持ち越しができない
  • 保有中の銘柄をNISAに移すことはできない
  • 長期運用するなら、資金が拘束される

分散投資によって、
損失のリスクを軽減する

計画的に投資することで、
投資枠を有効活用する

今回お伝えしたいことは、このたった2つだけです。
これを手軽に実現できる方法として、インデックス投資がオススメです。
以下の記事で解説しています。

その他、投資の勉強におすすめなテキストは以下でも紹介しています。

ぜひ参考にしてくださいね!

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。

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