「源泉徴収票って、手取り額は書いてないんだ…」
給与明細のまとめだと思っていた源泉徴収票。
しかしどこにも手取りは書いていません。
この記事は、源泉徴収票をヒントにして年間の手取りを計算すれば、徴収票に書いてある数字の意味がわかる!というコンセプト。
一緒に計算していけば、源泉徴収票をもっと理解できるようになるはず。
30分ほどで計算できますので、時間のあるときにどうぞ(^^
- 源泉徴収票は、収入と所得税を証明する書類
- 手取りは書いていない
- 年収 – 社会保険料 – 所得税 – 住民税
+ 交通費 = 手取り
源泉徴収票ってなに?という方は、以下の記事もどうぞ。
源泉徴収票を10秒でおさらい
源泉徴収票は、収入と所得税額を証明する書類です。
ざっくりいうと、天引きされた所得税の計算過程が書いてある紙です。
- 年収
- 給与所得
- 所得控除の額
- 取られた社会保険料の額
- 取られた所得税の額(源泉徴収税額)
- 手取り額
- 給与所得控除の額
- 取られた住民税の額
- 課税所得の額
- 支給された交通費の額
所得税だけに関する書類なので、住民税に関しては記載がないんですね。
計算の準備
正しい手取り額は、1暦年(1〜12月)の給与明細の手取りを合計すれば簡単にわかります。
今回は源泉徴収票の使い方を知るために、あえて源泉徴収票を使った方法で手取りを計算してみます。
以下の計算式を使います。
年収から引かれまくって最後に交通費を足したものが、手取り(可処分所得)です。
源泉徴収票には年収、所得税の額、社会保険料の合計額の3つしか書いてありません。
住民税と交通費は給与明細を見る必要があります。
ということで、令和5年を例として手元に準備するものは
- 令和5年分 給与所得の源泉徴収票
- 令和5年(2023年)1〜12月の給与明細(ボーナス分も)
- 電卓
の3つです。
例えば、毎月給与が振り込まれ年2回ボーナスがある場合は、合計14枚の給与明細と1枚の源泉徴収票を用意します。
- 一人暮らし(扶養家族なし)
- 年収400万円くらい
- 住宅ローン支払いがない
- 同じ職場に2年以上勤務している
- 生命保険には加入していない
なお、源泉徴収票には3種類ありますが、今回は退職所得の源泉徴収票・公的年金等の源泉徴収票は対象外です。
手取りを計算してみよう
さっそく計算してみましょう。
まずは年収から交通費までの5つの金額を確認していきます。
1.年収
源泉徴収票の「支払金額」欄の数字で、この例では407万5286円です。
「年収いくら?」と聞かれたら、この数字を答えるのが正解です。
税法上は収入といい、俗に額面ともいわれます。
1年間に支払われた総支給額の合計ですが、非課税である通勤手当(交通費)は含まれていません。
年収:407万5286円
2. 社会保険料
源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄の数字で、この例では54万3707円です。
1暦年で既に天引きされた、健康保険・厚生年金・雇用保険の合計です。
天引き額を示されたところで、だから何って思いますよね?
実際、ここに社会保険料が書いてある意義は薄いです。
この数字が大きいほど所得税の対象となる課税所得を小さくでき、取られる所得税も安くできます。
社会保険料:54万3707円
3.所得税
源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄の数字で、この例では9万1500円です。
そう、源泉徴収税額とは、1年間に天引きされた所得税の合計のことなんです。
所得税の計算には以下の式を使いますが、源泉徴収票ではいきなり最終的な所得税額が載っています。
(年収 – 給与所得控除 – 所得控除)
× 税率
ー税額控除
=所得税
(年収 – 給与所得控除 – 所得控除)
の部分が課税所得
このように源泉徴収票を見れば所得税額がすぐにわかりますが、上の式から自力で計算することもできます(別記事で解説します)
この計算は所得の概念を理解するのに役立つので、ぜひやってみてください。
所得税:9万1500円
4.住民税
給与明細で確認します。
1暦年分の給与明細の「住民税」欄を手計算で合計しましょう。
私の場合は21万3300円でした。
また、毎年6月ごろに送られてくる住民税の決定通知書でも確認できますが、年度で区切られているので2年前の通知書も必要であることに注意しましょう。
つまり2023年分の計算をするには、2022年度(令和4年度)の通知書も必要です。
住民税:21万3300円
5.交通費
給与明細で確認します。
1暦年分の交通費を手計算で合計しましょう。
交通費は正しくは通勤手当といいます。
例えば通勤手当として5万円を6ヵ月に一度支給されている場合は、年間トータルの交通費は10万円です。
今回は年トータルで6万6760円とします。
交通費:6万6760円
5要素を足し引きして手取りを算出
さて、あとは簡単な足し算をするだけです。
手取りは329万3539円と算出されました。
給与明細の手取りをすべて合計して、同じ金額になれば正解です。
皆さんはピッタリ計算できましたか?
会社独自の天引きや端数の処理によっては1000円くらいズレるかもしれませんが、数百万円の手取りに比べたら小さな数値なので、あまり気にしなくてよいでしょう。
まとめ:手計算はオススメ
今回の記事は、源泉徴収票を使って手取り額を計算することで、年収や所得の概念を理解するというものでした。
- 源泉徴収票は、収入と所得税を証明する書類
- 手取りは書いていない
- 年収 – 社会保険料 – 所得税 – 住民税
+ 交通費 = 手取り
源泉徴収票の読み方を理解すれば、自身の年収や所得、天引きされた税金についてチェックできます。
なお、天引きされる所得税をゼロにできるのが、NISA制度です。
給与ではなく投資などの金融所得に対する制度ですが、本来の20.315%の税金をゼロにできるのはかなりのメリットです。
10万円の利益に対し、本来なら約2万円取られてしまいますが、NISAなら10万円をまるまる手取りにできます。
ぜひNISAの記事も読んでみてくださいね。
参考文献
https://jp.stanby.com/magazine/entry/230445
https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/understanding-the-changes-on-withholding-tax-certificate
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/shotokukojotoha