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3000億ドルのパン…ハイパーインフレの世界とは?

この記事は約6分で読めます。

年率6.5×10の108乗%―――

この数字は、2000年台はじめにジンバブエ共和国が経験したハイパーインフレの、最終的な物価上昇率です。

実際のハイパーインフレはどのような経緯で発生するのでしょうか。

この記事では、投資家なら知っておきたい歴史的なインフレをサクッと解説。

読めば話のネタになる上に、100兆ジンバブエドル紙幣が欲しくなるかも…?

とりあえず結論
  • ジンバブエでは強引な政策を発端にモノ不足が生じ、インフレとなった。
  • 後先考えずにお金の流通量を増やしたことで、さらに悪化した。
  • 非公式ながら最終的なインフレ率は、年率650000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000%となった。

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ジンバブエでのハイパーインフレ

ハイパーインフレでは制御不能な超ハイスピードで物価が上昇し続け、同じく超スピードで通貨価値が下がっていきます。

当時のジンバブエの最終的なインフレ率は、年率6.5×10の108乗%(非公式)という天文学な水準に達しました。
その結果、約1日ごとに価格が2倍になるという異次元の世界となりました。
朝テーブルに置いた100円が、翌日には50円になっているのです。
魔術にでもかかっているのでしょうか。
ちなみに日本が目標としているインフレ率は年2%です。

凄まじい物価上昇と通貨価値下落の果てに、パンひとつが3000億ジンバブエドルまで値上がりしました(ただし、この数値の根拠となる信頼できそうなソースは見当たりませんでした)。
大量の札束を用意しても、パンを買うのがやっとだったんですね。
お金はあっても、パンに対するお金の価値が低すぎてそのような事態になりました。
なかなか想像できないですよね…。

当初の通貨価値は1ジンバブエドル≒1アメリカドルでしたが、最終的に年2億%超のインフレとなり、3.5京ジンバブエドル=1アメリカドルというこれまた天文学的なレートで回収されました。
京は兆の次の数詞で、ゼロが16個続きます。
つまり、銀行に預けた35000000000000000ジンバブエドルを1アメリカドルと交換してくれたんですね。
かさばらなくて助かる~とはなりませんね。

出典:YouTube

なぜこんなことになったのでしょうか。

原因

ジンバブエの場合は、当時の大統領が行った強引な政策が原因でした。
それに伴って治安が悪化し、さらに旱魃(かんばつ=干ばつ=長期間の水不足)が重なってしまったことで、極度のモノ不足が生じました。

これに拍車をかけたのが、通貨の流通量を際限なく増やしたことです。
モノ不足になるとモノの値段が上がるので、お金を刷って流通量を増やしました。
増やしてもパンの数は変わらないので、みんなで争奪戦となりました。
高くてもパンを買おうとするので、パン屋は値段を上げます。
やがてパンが値上がりしすぎて買えなくなります。
さらにお金を刷り、パンが値上がり…

という破滅的なループが繰り返されたのです。

詳しくみていく

時系列のダイジェストは以下のようになります。

  • 1965年
    ジンバブエの白人至上主義が悪化。
  • 1987年
    黒人が大統領となった。

  • 2000年~
    それまで虐げられてきた仕返しに、今度は徹底的な黒人優遇政策とした。
  • 白人たちは国外に脱出、同時に白人が培ってきた農業などのノウハウも流出。
  • 残された黒人だけでは充分な農作物を作れない。
  • インフレ開始
    わずかに獲れた食料を多くの人が買いたがり、農家としても少ない品数で稼ぐために商品価格を上げた。
  • 悪化
    やがて現行の紙幣では足りなくなったので、政府指示で紙幣を刷りまくった。
  • さらに悪化
    枚数を増やしても対応できなくなってきたから、新たに高額紙幣を刷りまくった。
  • 3000億円のパンが爆誕。
  • 2015年
    アメリカドルとの交換により、ジンバブエドル自体が消滅。

といった構図です。

治安悪化や旱魃などの要因も重なり、超スピードで上昇していく物価に対応しきれなかったのです。
2000年~2007年までの7年間で、通貨の供給量は130万倍、物価は650万倍になりました。

そして2020年7月、物価上昇率が年率840%近くまで上昇し、再びインフレ悪化の兆しが出てきてしまいました。

100兆ジンバブエドル

ハイパーインフレ最中の2008年、有名な100兆ジンバブエドル紙幣が誕生しました。
これでも取引には足りなかったというから驚きですよね。

筆者保有の100兆ジンバブエドル紙幣

ジンバブエドルは既に廃止されているので、この紙幣は価値ゼロです。
お守りとしてコレクターに人気なので、ヤフオクなどで買うことはできます。
私は8000円で買いましたが、ジンバブエ現地に行くと300円くらいで売っているようですよ。(真贋はわかりません)

また全部で3回、トータル25桁のデノミネーションが行われました。
これは、表記上のゼロを切り捨てて新たな単位を作ることで、帳簿などの管理をしやすくする目的で行われました。
イメージとして、(10兆×1兆)円が新1円になるということです。
管理しやすい…な…

学べることは…

通常のインフレに強い資産とされるのは株式、外貨、不動産、コモディティ(ゴールドなどのモノ)です。
しかしハイパーなインフレでは結局現金にしないと使いづらいので、この中では外貨が有効な選択肢となるでしょう。
先の例で言えば、ジンバブエドルの価値が1億分の1になっても、アメリカドルは1億倍になっているかもしれません。

ただ、それでも追いつけないペースで物価が上昇する可能性や、その外貨の価値が下がってしまうリスクや、先進国でハイパーインフレは起きにくいとされていることを考慮すると、一概にすべて外貨にしましょうとは言えません。

おすすめは、資産の一部を安定している国の外貨にすることです。
例えば20%を米ドルにして保有しておくなどです。
為替が円高に動けば円換算で損してしまいますが、ドルのまま保有しておけば減りません。
逆に円安になればドル自体は変わりませんが、円に戻した時に利益になります。
いくら分をどの外貨にするか、といったバランス感は、不確定要素がありすぎて私にもわかりません。
ただ言えるのは、資産を日本円で保有しておくのはリスクが高いということです。

まとめ:日頃からインフレに強い資産を考えておこう

ジンバブエを例に、ハイパーインフレとはどういうものかを概説しました。

ふたたび結論
  • 非公式ながら最終的なインフレ率は、年率650000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000%となった。

当時は2000年代でしたが、いまは昔に比べて株や外貨の取引が行いやすくなっています。

リスクヘッジの練習として、まず1万円くらいから外貨にしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに頻繁に外貨をトレードして儲けを狙うことは、FX(外国為替証拠金取引)と呼ばれます。

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。

参考文献
ウィキペディア:ハイパーインフレーション

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