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高配当を狙うなら知っておきたい、ディフェンシブと景気敏感セクタ

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「NISAで高配当株ETFを買って、配当金をお小遣いにしたいな…!」

でも、配当目当てで保有している銘柄なのに、暴落したら慌てて売却してしまう…というのはとてもよくある話です。

そうならないために、その銘柄(業種)が暴落に強いかどうか知っておくと、暴落局面でも涼しい顔で乗り切れるかもしれません。

とりあえず結論
  • ディフェンシブ銘柄とは、暴落に比較的強い銘柄群
    食料品、医薬品、電気・ガス、鉄道、通信など
  • 景気敏感株とは、相対的にボラティリティが高い銘柄群
    化学、鉄鋼、非鉄、機械、電気機器、精密機器、輸送用機器、金融、不動産など
  • ただし、明確な分類基準はなく、見方によっても異なることに注意

今回は、投資信託やETFのリスク耐性の目安として、ディフェンシブ銘柄と景気敏感株についてまとめてみました。
現在持っている銘柄、これから買おうとしている銘柄を判断する一助となるでしょう。

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セクタが偏っているとどうなる

投資信託もETFも、どちらも投資家から集めた資金を運用する金融商品です。
簡単に言うと、「株式200銘柄詰め合わせパック」とか「株式と債券とREITを1/3ずつ詰め合わせたパック」のようなものです。

しかし、投資業種(=セクタ)が偏っていると分散効果が弱く、市場が暴落した際に保有商品も釣られてしまい、コテンパンな含み損となってしまうかもしれません。
逆に、景気上昇時の波にうまく乗れないことも出てくるでしょう。

そこで、ディフェンシブ銘柄と景気敏感株という分類が役に立ちます。

ディフェンシブ銘柄って?

ディフェンシブ銘柄は内需株ともいい、景気動向に業績が左右されにくい銘柄のことです。

ディフェンシブ銘柄とその例
  • 食料品(日清食品ホールディングス)
  • 医薬品(武田薬品工業)
  • 電気・ガス(東京ガス)
  • 鉄道(JR東海)
  • 通信(KDDI)

このリストは、複数のウェブサイトを比較して重複が多かったものだけを抽出していますので、ちょっとシビアな選定基準となっています。
参照するウェブサイトによって、他の業種もディフェンシブだとされているものもあります。
あくまで「どちらかというとディフェンシブに分類される」程度の認識でいたほうが良いでしょう。

これらのセクタは市場全体が大きく下落した際も、各種指数の下落に引っ張られづらく、下落耐性があるとされています。
また、景気の影響を受けづらく普段のボラティリティ(値動きの幅)が比較的小さくなる特徴があります。
従って保有していても大きな利益は狙えませんが、ディフェンシブかつ高配当な銘柄を多く含ませることで、価額の上下に惑わされず安定した配当収入を得る戦略に有効です。

なぜディフェンシブなの?

ディフェンシブ銘柄は生活必需品を扱う BtoC銘柄であることが多く、そのことが株価の安定性につながっています。
BtoCとはBusiness to Consumer の略で、企業が一般消費者に対して行う業態のことです。
これらの企業は、食品、医薬品、電力・ガス、通信など、人々の日常生活に必要不可欠な商品やサービスを提供しています。
そのため、景気が上下しても、これらの商品やサービスへの需要は大きく変動しません。
これが、「ディフェンシブ」(防御的)である理由です。

景気敏感株って?

景気敏感株とは外需株ともいい、業績が景気動向に左右されやすい株のことです

景気敏感株とその例
  • 化学(住友化学)
  • 鉄鋼(日本製鉄)
  • 非鉄金属(三菱マテリアル)
  • 機械(コマツ)
  • 電気機器(日立製作所)
  • 精密機器(助川電気工業)
  • 輸送用機器(本田技研工業)
  • 商社、銀行、証券など金融
  • 不動産(野村不動産HD)

景気敏感株は、「シクリカル(Cyclical)銘柄」「景気循環株」とも呼ばれ、市場全体が大きく変動する際に、各種指数に釣られた値動きになりやすいとされています。
ディフェンシブ銘柄と比較して株価が変動しやすく、比較的短期間でのキャピタルゲインを狙う戦略に向いています。

なぜ景気敏感なの?

景気敏感株は製造業のような、BtoB銘柄であることが多いです。
なぜ景気敏感株とされるのか、少し詳しくみていきます。

需要の変動
景気敏感株は、経済の好不調によって需要が大きく変動する業種に関連しています。
例えば、不動産や自動車などの大型消費財は、景気が良い時には需要が増えますが、不況時には需要が減少します。
不景気で給料が上がらないときに、車を買い替えようとは思いにくいですよね。

投資の変動
景気が良い時には、企業は新たな設備投資を行ったり、新製品の開発を進めたりする傾向があります。
これにより、機械や電機、化学などの業種の業績は上昇します。
しかし景気が悪化するとこれらの投資は減少し、それに伴い業績も下がります。
業績が下がれば将来を悲観して株価も下がります。

原材料価格の変動
景気が良い時は原材料の需要が増え、価格が上昇します。
これにより、鉄鋼や非鉄、化学などのセクタ業績は上昇します。
しかし景気が悪化すると原材料の需要が減少し、価格が下落します。
需要がなければ原材料を安く売ることになり、これらの業種の業績は下がります。

総じて、景気の上昇・低迷に連動する銘柄が多いセクタといえます。
これが「景気敏感」とされる理由です。

まとめ:大まかな分類は知っておこう

ということで今回は、ディフェンシブ銘柄と景気敏感株の違いについてまとめてみました。

ふたたび結論
  • ディフェンシブ銘柄とは、暴落に比較的強い銘柄群
    食料品、医薬品、電気・ガス、鉄道、通信など
  • 景気敏感株とは、相対的にボラティリティが高い銘柄群
    化学、鉄鋼、非鉄、機械、電気機器、精密機器、輸送用機器、金融、不動産など
  • ただし、明確な分類基準はなく、見方によっても異なることに注意

ちなみに、新NISAが始まって人気上昇中の高配当海外ETFであるVYMは、生活必需品などのディフェンシブセクタが50%を占めます。
高配当かつディフェンシブ銘柄が多いとなると、人気が出るのも納得できますね。

NISAでは、成長投資枠でしかETFを買うことができません。
NISAの2つの枠については、以下の記事でも紹介しています。

これらを思い出しながら、自身の投資戦略を見直したり、銘柄調査の参考にしていただければと思います。

この記事の内容は2024年1月14日 日本時間21:45現在の情報に基づいています。
VYMの情報は2023年11月30日現在の報告に基づいています。

文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。

参考文献
https://www.ig.com/jp/trading-strategies/best-defensive-stocks-to-watch-240111
https://www.dailyfx.com/jp/education/understanding-the-stock-market/stock-sectors.html
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/35422?page=2
https://www.daiwa.jp/glossary/YST2372.html
https://tickertalk.co.jp/knowledge/3155/
https://souken.shikigaku.jp/22883/
https://www.kabusoba.jp/morekabushiki271category.html
https://moneyworld.jp/news/05_00104076_news
https://www.sigmabase.co.jp/correspondence/sample/FI.pdf
https://gorigoritv.com/vym