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セルフメディケーション税制でいくら節税できる?レシートは?

この記事は約7分で読めます。

「ドラッグストアでのレシートは取っておけって言われたけど、なんで…?」

それは、確定申告でお金が返ってくる可能性があるからです。

この記事ではセルフメディケーション税制についてサクッと解説します。

セルフメディケーション税制とは
  • 自分で買った市販薬の費用の一部を所得控除できるという制度
  • 最大88000円まで控除できる
  • 超えた分がそのまま戻ってくるわけではない
  • 医療費控除とは併用できない
  • 各種条件あり、要確定申告、レシートや健診結果の保管が必要
  • 現行では2026年(令和8年)12月31日までの制度

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どんな制度?

セルフメディケーション税制(以下セルメド)とは、自分で購入した市販薬などの費用を所得控除でき、その分だけ税金が安くなる(返ってくる)制度です。
風邪薬や花粉症薬、シップなど、普段からよく使う薬が対象です。

家族分も合計した購入費用が、年間12000円を超えると使えるようになる制度です。
控除の上限額は88000円です。
12000円~10万円までの市販薬費用が対象になるということですね。
市販薬とはいえ、家族分も含めたら結構な額になるので、少しでも返金されるのは嬉しいですよね。

医療費控除とどちらかしか利用できないので、セルメドと医療費控除の併用はできません。
この適用を受けるためには、健診やワクチン接種を受けていることが必要です。

対象となる市販薬はスイッチOTC医薬品など、4種類あります。(後述)
例えば、対象のシップ薬を5万円ぶん買えば、38000円を所得控除できる、ということですね!

利用するには?

セルメド利用の流れ
  • 購入
    セルメド対象医薬品を購入
  • 保管
    レシート・領収書を保管
  • 合算
    対象医薬品の購入金額合計が、12000円を超える
  • 健診等
    「健康のための一定の取組」を証明する
  • 併用不可
    医療費控除はできないことを確認
  • 申告
    確定申告して完了

レシート・領収書の保管

市販薬のレシートは、家族分も含めてとりあえず保管しておきましょう。
2025年2~3月の確定申告で利用する場合は、2024年1月1日~12月31日のレシートが対象です。
花粉症の季節だとアレルギー薬を買うことも増えると思いますので、今からレシート保管を始めましょう。

確定申告時にレシート添付は不要ですが、抜き打ちで税務署から聞かれた際に証拠に困らないよう、5年間は保管しておくのがベターです。
ふるさと納税の寄付金控除証明書と同じですね!

対象医薬品の額を合算し12000円を超えるかチェック

その商品がセルメドの対象かどうかは、レシートの記載で確認できます。

この画像の場合、アネトンせき止め(1922円)がセルメド対象金額です。

また、商品の箱に以下のマークがついていることでも判断できます。

引用:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/knowledge/self_taxsystem/index4.html

対象となるのは4種類の市販薬です。

セルメド対象の医薬品
  • スイッチOTC医薬品 例:アレグラFX(花粉症の薬)
  • 風邪の諸症状の薬 例:ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒A(風邪薬)
  • アレルギーの諸症状の薬 例:ロートアルガード(目薬)
  • 腰痛、関節痛、肩こりの薬 例:のびのびサロンシップF(シップ薬)
    ※カッコ内は筆者が記載したため正確な名称ではありません

日常でもよくお世話になる薬ですね。
全部で6923品目が指定されています(2024年3月1日現在)
見づらくて詳しい厚労省のページは以下です(笑)

厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

リストから狙って買いに行くよりも、買おうとしている市販薬のパッケージを確認した方が早そうですね。

領収書の場合は?

領収書では、ただし書きで対象となるすべての商品名が記載されている必要があります。
こちらもレシートと同じく、5年保管しておきましょう。

セルメドを使える対象者かチェック

次は、自身がセルメドの適用を受けられるかどうか確認しましょう。
12000円以上を購入した年に、健康のための一定の取組を行い、その領収書や結果通知書を保管している必要があります。
これらも抜き打ちの税務調査に備えて、5年間は保管しておくと安心です。

健康のための一定の取組
  • 予防接種(定期接種、インフルワクチンの予防接種)
  • 市町村のがん検診
  • 会社の定期健診(事業主検診)…会社員ならほぼコレでOK
  • 特定健診(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導
  • 人間ドック、各種健診
  • 生活保護受給者等を対象とする健診

のいずれかを指します。
それぞれで必要な書類も決まっています。

必要書類
  • 予防接種…領収書、もしくは予防接種済証
  • がん検診…領収書、もしくは結果通知表
  • 会社の健診…結果通知表、ただし※1
  • 特定健診…結果通知表、ただし※1
  • 人間ドック等…結果通知表、ただし※1
    ※1…ただし「定期健康診断」or 「特定健康診査」or 勤務先名・保険者名の記載がない場合は証明依頼書

となっています。

文字にするとめんどくさそうですが、会社勤めの方なら、会社の健診の結果通知書があればクリアできています。
手元になければ会社に再発行を依頼するか、証明依頼書を提出する必要があります。

証明依頼書は厚生労働省のページからダウンロードして使います。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
※ページ下方、「4 健康の保持増進及び疾病の予防への取組(一定の取組)の証明方法について」という項目内の、「証明依頼書」です。

医療費控除を受けないことをチェック

医療費控除とセルメドは、どちらか一方しか利用できません。
セルメドを利用したい場合は、医療費控除の確定申告処理をしてはいけません。

確定申告

条件が整ったら、確定申告して終了です。

e-Taxでは、
確定申告書作成コーナーの「所得控除の入力」
  ▼
「医療費控除」
  ▼
「セルフメディケーション税制を適用する」
と選択し入力します。

いくら戻ってくる?

12000円を超えた金額がそのまま返金されるわけではなく、あくまで所得控除されるだけです。
つまり課税所得を低くでき、その分だけ税金が安くなる、という仕組みです。
購入時に既に支払ってしまった税金を、確定申告で取り戻す、というイメージですね。

返金額は、所得税率(変動)個人住民税率(10%固定)の2つで決まります。
ざっくりいうと、市販薬合計額が同じでも、所得税率が高い≒年収が高い人の方が、セルメドの恩恵を多く受けられます。

  • 課税所得=年収 – 経費 – 各種控除
  • 手取り=課税所得 – 所得税

年収別に計算してみる

市販薬合計が10万円の場合、88000円の所得控除を受けられます。

【年収200万円→ 所得税率10%、個人住民税率10%
88000円×10%=8800円が返金され、
88000円×10%=8800円が翌年度の住民税負担から減ります。
トータル17600円のお得です。

【年収400万円】→ 所得税率20%、個人住民税率10%
88000円×20%=17600円が返金され、
88000円×10%=8800円が翌年度の住民税負担から減ります。
トータル26400円のお得です。

【年収700万円】→ 所得税率23%、個人住民税率10%
88000円×23%=20240円が返金され、
88000円×10%=8800円が翌年度の住民税負担から減ります。
トータル29040円のお得です。

速算表を載せますので、ご自身でも計算してみてくださいね。

国税庁HPより https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

まとめ

今回は、セルフメディケーション税制について概説しました。

国税庁よりわかりやすいと思っていただけたら、とても嬉しいです(笑)

今年の確定申告にはもう間に合わないという方も、来年の確定申告に備えて今からレシート保管を始めましょう!
国の制度としては珍しく、特にリスクなく節税できる貴重な方法です。
ぜひ活用しましょう!

参考
https://www.jfsmi.jp/lp/tax/about/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/knowledge/self_taxsystem/index5.html
https://sp.shin-ooya-life.jp/
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

※文中に出てくる具体的な投資商品などは、内容をわかりやすく解説するためだけに用いており、これらの商品への投資を勧めるものではありません。実際に投資するかの判断は自己責任にてお願いします。